ITホールディングス(ITHD)グループのTISが展開するグローバル事業で、中国と並んで重視する市場がASEAN地域である。「アジア市場への進出を加速する企業が、ITベンダーに対して、中国/ASEAN全域でワンストップの支援を求めるケースが増えている」(丸井崇・海外事業企画室長)ことが背景にある。

丸井崇室長 TISは、今年10月に「IT戦略コンサルティングサービス」事業を大幅に強化した。ユーザー企業の経営と一体となったIT戦略の立案支援サービスメニューを集約して体系化することで、上流工程から国内外でのITシステムの実装に至るまでトータルでサービスを提供する体制の整備を急いでいる。
中国での反日感情の高まりや、日本製品不買運動の長期化、あるいは沿岸部を中心とした人件費の高騰によって、今はまだ表面化していない日系ユーザー企業のアジア事業の見直しの可能性もゼロではなくなってきた。世界経済の重要な成長エンジンであるアジア市場を重視する流れは変わらないが、「中国/ASEAN地域でのユーザーの経営リソースの最適配置の見直しに、いつでも対応できる体制づくり」は、日本のSIerにとって極めて重要な要素になってくる。TISの「IT戦略コンサルティングサービス」はこうしたアジア全域でのITシステム最適化をユーザーの経営戦略に即したかたちで支援するものだ。また、同社が中国で先行しているデータセンターを活用したITインフラサービスも、ASEAN地域で順次拡充する方針を示している。(安藤章司)