輸入生活雑貨店「PLAZA」などを運営するスタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニーは、全国の直営店およそ100店舗で、有力SIerのアイティフォーが開発した小売業向け基幹業務パッケージソフト「RITS(リッツ)」のPOSと顧客管理(CRM)モジュールを採用した。今年10月1日から順次稼働をスタート。アイティフォーのクラウド型データセンター(DC)を活用したフルアウトソーシング方式で提供するもので、システム運用費を従来比で約4割も削減した。
ユーザー企業:スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニー
輸入生活雑貨店「PLAZA」や「MINIPLA」などを展開している。おしゃれな商材を多く扱っていることから、顧客の9割余りを女性が占める。
サービス提供会社:アイティフォー
サービス名:小売業向け基幹業務システム「RITS(リッツ)」
【課題と決断】有力ベンダーがコンペ
スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニーは、十年来使ってきたPOSシステムの陳腐化に頭を悩ませていた。POSで使っていたWindows 2000 OSはすでに延長サポートが終了。制度面でも消費税が外税方式から内税方式へと変わるとともに、今後の税率の引き上げへの対応にも課題がある。最新のPOSなら問題にはならないことでも、旧モデルだと個別に手直しするだけで「数千万円単位の費用がかさんでしまう」(スタイリングライフ・ホールディングスの上野慎一・グループシステム本部長)状態だった。
そこで2011年11月、POSシステムの刷新と顧客満足度の向上を目的に、顧客管理(CRM)システムと連動したポイントカードサービスの導入を決断。ベンダーに求めるRFP(提案依頼書)には、課題の一つだった割高なシステム運用費の3割削減を明記した。調達のコンペに参加したのは、大手コンピュータメーカー2社と、アイティフォーを含む有力SIer3社。大手メーカーはハードからソフトまで一気通貫で揃えており、SIerのうち2社は自社開発の小売業向け基幹業務パッケージソフトをもっていた。
システムの稼働目標を2012年10月に設定していたことから、まず最初にパッケージをもたないSIerが「開発期間が短すぎる」として辞退。残る4社での競争となったものの、メーカーのパッケージはカスタマイズを前提とした大規模ユーザー向けで、カスタマイズに伴う予算が合わないことから見送り、SIer2社の一騎打ちとなった。

左から、スタイリングライフ・ホールディングスグループの正木善和課長、上野慎一本部長、岡田典一シニアバイスプレジデント
【効果】従来比約4割の運用費削減を提案

アイティフォー
船橋広二主任 アイティフォーは、今年8月に稼働したばかりのクラウド型DCをベースとしたフルアウトソーシングを提案。同社で流通・eコマースシステム事業を担当する船橋広二・営業一部第一グループ主任は、「パッケージソフトとクラウドサービスの組み合わせによってシステム運用費を大幅に削減した」だけでなく、RFPの要求を上回る従来比で約4割を削減するプランで受注を勝ち取った。受注金額は税込みで約2億5000万円。
ただ、テスト期間などを除くと開発期間は実質6か月。それでも稼働にこぎ着けられたのは、アイティフォーが開発する小売業向け基幹業務パッケージソフトである「RITSの完成度がとても高かったから」と、プラザスタイルカンパニーの岡田典一・シニアバイスプレジデントは評価する。CRMと連動するポイントカードについては、「PLAZAらしい顧客満足度のあり方」(同社の正木善和・販促宣伝部CRM課長)を徹底的に研究したこともあり、仕様が固まったのはぎりぎりの8月に入ってから。
「RITS」はポイントカードの機能を標準で備えているので、仕様にもとづいたパラメーターの設定によってユーザーの要求に応えた。POSシステムは10月1日に無事、本稼働にこぎ着け、ポイントカードは11月15日から順次導入。「顧客の反応を測定して、来年4月から本格的にCRMの効果をビジネスに適用していく」(正木課長)考えだ。
システム面では、アイティフォーが運営するクラウド型DCへのフルアウトソーシングへ移行したことで、ITインフラはメンテナンスフリーとなり、「RITS」のパッケージソフトとしての完成度の高さと相まって、システム運用費や負担の大幅減につなげた。(安藤章司)
3つのpoint
RFP(提案依頼書)を上回る運用費の削減
パッケージの完成度が高く、短期間で稼働
クラウドDC活用でメンテナンスフリー