日商エレクトロニクスのグループ会社としてデータセンター(DC)サービスなどを提供するエヌシーアイ(NCI)で、システムインテグレータ(SIer)をはじめとするパートナーに向けた営業を担当している寒川貴志さん。サービスの活用方法をわかりやすく説明し、客先に納得してもらえる提案にこだわっている。今回は、仕事のやり方について語ってもらい、その営業スタイルの特徴に迫る。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
工夫して先方の要望を実現
私は、日商エレグループの最重要クライアントを担当していることもあって、抱えている仕事の量がかなり多い。だから、やらなければならないことを一つひとつ、効率よくこなすことを心がけている。例えば、朝の通勤途上では、スマートフォンを使って、会社に届いたメールをチェックする。電車の中でメール内容を把握して優先順位をつけておけば、会社に着くやいなや、スピーディに対応できるからだ。
昼間は、客先を回って商談を進める。その際に、必ず守ることがある。それは、「できない」という言葉を簡単に口にしないことだ。お客様は、何らかの解決策を求めて、当社に相談しているはずだ。だから、すぐに100%満足してもらえる回答が出せなくても、「例えば、○○だったらできます」というかたちで提案している。何より、お客様の要望をしっかりと聞き、粘り強くあらゆる工夫をしながら、最適なソリューションをつくっていくことを心がけている。
とはいうものの、お客様の要望を実現するうえで、いろいろな壁にぶつかって、どうすればそれを乗り越えることができるかと悩むことも少なくない。
提案中の案件で行き詰まったとき、すぐに元気を取り戻すために、携帯電話のスタート画面に子どもの写真を登録している。わが子は、今、2歳。携帯でその顔を見れば、仕事の悩みは瞬時に吹き飛ぶ。また、休みの日は、公園や広場で大の字になって空を眺めるというのを好んでやっている。大空を眺めれば、時間がゆっくり流れているようで、悩んでいることが馬鹿馬鹿しくなって気分が晴れる。これは、仕事中はなかなかできないので、いつも、休日の楽しみにしている。
前号で語ったように、私はわかりやすい提案書を作成することにこだわっている。しかし、本音をいえば、提案書づくり以外の商談の事前準備は、ちょっと苦手なところがある。最低限必要な情報は調べておくが、とくに雑談のテーマを事前に決めて客先を訪問するというわけではない。そのかわり、頭の中であらゆるテーマの話を常に用意していて、先方からキーワードが出たら、それについて話せるようにしている。
細かいことだが、私はネクタイにこだわっている。鞄など他のビジネスツールは、実用性があれば十分と思っているけれども、ネクタイだけは念入りに選んでいる。色は、緑や黒が好きだ。大きな商談が入っている日は、いつもよりちょっと明るめのネクタイを選んで、「よし、取るぞ!」と気を引き締めている。
NCIがDCサービス事業を本格的に展開するのは、これから先のことになる。12月に、新しいサービスも投入する。提案のわかりやすさを武器に、わが社を代表する営業マンの一人として、DCサービス事業の拡大に貢献していきたい。
●日常使う営業ツール.......... 奥さんからプレゼントされたボールペン。昇級した際に、「相手の会社の社長さんなど、偉い人たちと会う機会が増えるだろうから、まずは格好から入って、それに自分が追いつけるように頑張って!」というやさしい心遣いで買ってもらったそうだ。
●上司からのひと言.......... 「寒川は、提案に行く前から、お客様のビジネスをどう改善するかについて、具体的なイメージを頭に描いている。そして、そのイメージをお客様にわかりやすく伝える。お客様に『この人に任せたら、大丈夫』と安心感を与え、受注を勝ち取る。こういうやり方はすごいと思う。寒川の活動ぶりには非常に期待している」(戦略営業部の吉田崇グループリーダー)