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<データセンター特集>活況を呈するDC建設市場 2011年の投資額は3010億円

2012/10/25 19:56

週刊BCN 2012年10月22日vol.1453掲載

 日本のデータセンター(DC)建設市場が活況を呈している。クラウドコンピューティングの普及や、東日本大震災の発生がきっかけとなったBCP(事業継続計画)の需要拡大などによって、DCを利用してITシステムを構築・運用するニーズが拡大しつつある。こうしたなか、DC事業者は、全国各地でセンターの新設や増設に取り組んでおり、旺盛なニーズに対応するために、急ピッチで設備の強化・拡大を進めている。DC建設市場が活性化していることは、サーバをはじめとするDC向けのIT製品を提供するベンダーにとって、商機を生み出すことを意味している。

 調査会社のIDC Japanは、今年6月、国内DC建設市場について調査を行い、事業者がサービス提供を目的として運営するDC(iDC=Internet Datacenter)と企業がプライベートに所有するDC(eDC=Enterprise Datacenter)への投資額の予測を発表した。同社によると、iDCとeDCを合わせて国内で新たに建設されるセンターに対する投資額の2011年実績値は、3010億円だったという。DC建設市場はこれからも成長し続け、2016年までにマーケット規模は3428億円に伸びると予測している。

 ここで、IDC Japanの調査をもとにして、DC建設市場をiDCとeDCに分け、それぞれの状況をみてみよう。事業者のDCは、構造物から新たに建設する「新築」の2011年実績値は766億円だ。今後、年平均成長率2.2%で推移し、2016年には855億円に拡大。一方、既存建物をDC施設に用途変換して建設する「改修」の2011年実績値は151億円で、2016年には177億円(年平均成長率3.2%)になると、IDC Japanはみている。また、企業が所有し、自社システムの構築に用いる企業内DCは、「新築」の2011年実績値は872億円。年平均成長率1.6%で推移し、2016年には945億円になる。また、「改修」の2011年実績値は1221億円で、2016年には1452億円(年平均成長率3.5%)に伸びる見込みだ。


 IDC Japanは、事業者DCでは、BCP対策を図るアウトソーシング需要の拡大や、クラウドサービスのインフラ基盤としての大型DCの構築が成長をけん引するとみている。一方、企業内DCでは運用管理コストの削減を目的としたDC集約やバックアップサイトの構築需要が市場のカンフル剤になると分析している。

 構造物のトレンドとしては、事業者DCでは、ファシリティをユニット化し、ビジネス規模に応じて段階的に拡張することができるモジュール型DCのメリットが認識され、ホスティングやクラウドサービスを提供する地方型DCでの採用が進んでいる。また、企業内DCでは、東日本大震災の発生をきっかけとする地震対策の強化のため、床やラックの免震技術を導入するなど、安全性を強化する企業が増えている。

 IDC Japanでコミュニケーションズ リサーチマネージャーを務める川上晶子氏は、「事業者/企業内DCの物理インフラに関して、製品やサービスを提供するDCソリューション事業者は、事業者DCの新設案件で、人件費と電力コストをはじめとするランニングコストを削減するソリューションを提案すれば、効果が期待できる。一方、企業内DCのサイト集約に伴う新設案件では、バックアップサイトも含めた提案を行うべきだ」と語る。

 次ページでは、成長を続けるDC市場に向けて、シスコシステムズの「Cisco UCSサーバ」の販売を拡大しようとしているネットワンパートナーズの新しい取り組みを紹介する。

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外部リンク

ネットワンパートナーズ=http://www.netone-pa.co.jp/