上海電通信息服務有限公司は、リース業向けシステム「Lamp」を提供することによって、興銀融資租賃(中国)有限公司の顧客管理の簡便化を実現した。今後は、中国独自のオリジナル機能を搭載することなどを計画しており、興銀融資租賃(中国)の業務効率化を支援していく。
→「<中国のITユーザー事情>日系ベンダーのシステム構築事例集」 から読む <興銀融資租賃(中国)有限公司> 建設機械のリースを主軸ビジネスとして、設備ファイナンスの取り扱いも手がける会社として2008年7月に設立。2011年9月には、広州分公司を開設して事業を拡大中

興銀融資租賃(中国)の上田篤副総経理(左)と上海電通信息服務の秋山修司事業推進本部部長 興銀融資租賃(中国)が「Lamp」の稼働を本格的にスタートしたのは2011年冬。それまでは、ファイナンスやリースを管理するために「Access」を使っていた。設立当初は契約件数が少なく、手入力でも十分に対応できたことが理由だ。ただ、上田篤董事副総経理は「ファイナンスやリースは、契約件数が増えれば増えるほど管理が煩雑になるだけでなく、間違いが起きやすくなる。しかも、中国では金利や税制などが頻繁に変更されるという問題がある」という課題を抱えていた。
システム革新のきっかけになったのは、09年から10年にかけて中国政府がリーマン・ショックの影響を回避しようと4兆元(当時の日本円で約55兆円)を公共投資にあてる策を実施したことだ。これによって、建設機械のリース案件が急増。できるだけ人手を介さないシステムの導入選定に踏み切った。ベンダーを選定して2社に絞ったなかに上海電通信息服務が入っていた。上田副総経理は、「2社のデモを見て、操作性や自動化、移行のしやすさなどを踏まえて、『Lamp』を導入することに決めた」としている。
契約を結んだ後、上海電通信息服務が重視したのは要件定義だった。秋山修司事業推進本部部長は、「興銀融資租賃(中国)さんの要望をしっかりと聞き、しかも最適な方法の提案を徹底した」という。その甲斐があって不具合なく稼働した。興銀融資租賃(中国)の上田副総経理も、「システムに関しては素人なので、日本本社のシステム担当者も交えて上海電通信息服務さんとのやり取りを行ったのだが、本社のシステム担当者は、このシステムを高く評価していた」と振り返る。
実際の導入効果は、月2000件に及ぶ管理も自動化によって財務担当者2人で対応できるようになったほか、営業担当者が債権者の検索をするのも簡単になった。また、未収金の管理も容易になって、迅速に催促できるようになった。今後は、「請求のメッセージを携帯電話のSMSに送れる中国ならではの機能を搭載したい」と、興銀融資租賃(中国)の上田副総経理は話す。
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