システム開発を手がけるニッセイコムで大学向けの営業を担当している橋本佳奈さんは、アポイントメントなしでも客先に足を運び、最近の課題や悩みを把握する活動に力を入れている。大学は部署が多いが、そのことを滞在時間を長くすることができるプラス材料と捉え、自社の商材を粘り強く多くの人にアピールする。負けず嫌いでもある橋本さん。将来は、東京で得た営業ノウハウを地元の関西で生かしたいという夢をもっている。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
雑談を交わしながら悩みを聞く
2012年4月に関西支社から東京本社へ転勤になって、現在は関東甲信越の大学に、当社独自の財務会計パッケージを提案している。東京に転勤してもうすぐ1年になる。ようやく財務会計に関する知識を身につけることができた。そのうえで、関西で培ってきた粘り強さを生かして、新しいお客様との信頼関係を築いている。
「こんにちは~。近くに来たので寄りました」と元気よくお客様のオフィスに顔を出すと、「えっ、また来たの?」と驚かれたりする。そう言いつつも、時間を割いていただくことが多い。関西で仕事をしていた頃から、挨拶だけでもと、アポイントメントなしでお客様を訪問し、ちょっとした会話を交わすことを心がけている。私の営業はたぶん8割が雑談だと思う。直接仕事と関係のない話にも熱心に耳を傾け、お客様はどういった課題や悩みを抱えているのかを把握しながら、頼りになるパートナーとしての信頼を得るようにしている。
大学は、少子化が進んで新入生の数が減っている。そうしたなかで、学生の生活や研究を支援するサービスを提供することが重要になっている。この仕事を担当させてもらって気づいたのだが、大学は、関西でお客様としていた自治体よりも、組織としてずっと大きい。ITの導入・活用に関わる部署が多く、かなり複雑だ。しかし、部署が多いことは、逆の見方をすれば、営業としての滞在時間を長くすることができるチャンスでもある。私は、人見知りをしない。システム部門や財務部門など、各部署に気軽に足を運んで、ITの活用によってどのような学生向けサービスを展開することができるかを説明する。なるべく長い時間、お客様のところに居残って多くの方と話すことで、自分の存在感を高めることに努めている。
本社勤務になって初めて注文をいただいたのは、地方の大学に財務会計パッケージを納入した案件だった。私は当時、同じような案件を二つ同時に進めたが、一つは残念ながら他のベンダーに獲られてしまった。「競合に負けて悔しい」という気持ちがバネになって、もう一つの案件には全力を尽くし、受注にこぎ着けた。このエピソードからわかるのだが、私には負けず嫌いのところがある。自分が扱う商材のよさに自信をもち、一人でも多くのお客様に利用していただきたい。この思いが私の営業活動の原動力になっている。
私は、まだまだ若輩者だ。だから、細かな部分を見落として先輩に助けてもらうことがけっこうある。お客様の要望にもっと細かく応えて、しっかりと自分一人で案件に対応することができるように頑張る。東京で営業のスキルを磨いて、まだまだ先になるが、いずれは関西に帰って地元で活躍したいと思う。
●日常使う営業ツール.......... 東京に転勤するときの送別会で、お客様から贈られたシャープペンシル。明るい色が、橋本さんの性格に合う。これを使って客先で聞いた情報を書き留め、提案書づくりに生かす。
●上司からのひと言.......... 「橋本さんは、お客様のさまざまな立場の人と積極的に会話をして、彼らの悩みや目標、計画をよく理解している。そして、その課題を解決するために、当社の上司や先輩はもちろん、エンジニアなど他部門の関係者にも報告・相談・連携して会社としてのポテンシャルを十二分に引き出している。パワーとスピードで、社内外で強い信頼関係を築いている。明るく楽しく元気よく、そして厳しい面のある営業チームになくてはならない存在だ」(公共情報事業本部 営業第一部の小高潤担当部長)