IT製品の1次販売を手がけるマクニカネットワークス(宮袋正啓社長)は、クラウド統合型ストレージ「StorSimple」の販売チャネルを拡大する。「StorSimple」は、オンプレミス型のストレージをパブリッククラウド型のストレージサービスと連携してデータを保存することができるものだ。同社は、既存のストレージ販売パートナーのほか、マイクロソフトの「Windows Azureストレージサービス」を販売する企業とも連携し、2次販売店を通じて市場開拓に取り組んでいく。(取材・文/ゼンフ ミシャ)
ローカルとクラウドを統合

第2営業統括部
第3部第2課
森夕貴氏 マクニカネットワークスは、米StorSimpleが開発した「StorSimple」を2011年から取り扱っている。このところ、バックアップ用途などに手応えを感じており、チャネル体制の拡大によって、本格的な市場開拓を目指す。2013年の販売目標として、大手・中堅規模の企業を中心とする20社を掲げている。
「StorSimple」は、オンプレミス型のストレージアプライアンスを、「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」や「Windows Azureストレージサービス」といったパブリッククラウド型のストレージサービスと連携し、「ローカル」と「クラウド」のストレージ層を統合する。ユーザー企業は、重要なデータをオンプレミス型のストレージで保存し、クラウド型ストレージサービスを情報のアーカイブやバックアップとして活用することができる。データ量が増加しても設備を増やさずにクラウド上で保存し、一元管理することが可能になるわけだ。
「StorSimple」の提案を担当する第2営業統括部 第3部第2課の森夕貴氏は、「アプライアンス内で重複排除・圧縮を行い、データの全体量を少なくする。さらに、使用頻度の低いものを自動選択してクラウドに転送するので、クラウドサービスの利用料を最小限に抑えることができる」とコストパフォーマンスのよさを訴求する。主なターゲットとして、大量のデータを抱えるゲーム会社やCADを使う建設事業者などを据えている。
「StorSimple」は、データをクラウドに通信する際に情報を暗号化し、高いセキュリティ性を追求している。森氏は、「昨年、セキュリティに厳しい自治体にも『StorSimple』を導入することができた。お客様にセキュリティを評価していただいている」と語る。
SBTなどと提携して市場を攻める
米マイクロソフトは、「StorSimple」を開発した米StorSimpleを2012年に買収した。現在、自社のビジネスユニットとして展開している。「StorSimple」は複数のベンダーのストレージサービスを選択することができるが、マイクロソフトは買収によって、なるべく多くのユーザー企業に自社の「Windows Azure」を選んでもらうことを狙っている。
そんな動きを受けて、マクニカネットワークスは「StorSimple」の販売チャネルを拡大するにあたり、従来のストレージ販売パートナーに加え、「Windows Azure」の販売を手がける企業とも提携する。「両方からエンドユーザーを攻める」(第2営業統括部 第3部第2課の高柳洋人課長)ことを方針に掲げている。マクニカネットワークスは、すでに「Windows Azure」の有力販社であるソフトバンク・テクノロジー(SBT)とアライアンスを組んでおり、共同でユーザー企業向けのセミナーを開催するなど、市場開拓に動いている。現在、日立システムズ、内田洋行と提携を進めているところで、今年中に「Windows Azure」パートナーとアライアンスを増やしていくという。
森氏は、「販売店にとって『StorSimple』は『Windows Azure』の販売を促すツールとなる。『StorSimple』の展開によって『Windows Azure』の売り上げを拡大することができる」とアピールする。