オーディオ機器などの海外製品の輸入販売事業を手がけるエミライ(河野謙三代表取締役)は、帳票管理にExcelを使用していた。しかし、事業が成長して取引する製品の数量が増えたことで、Excelだけでは案件の進捗状況が管理できなくなった。そこで、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」と日本オプロ(里見一典社長)の「OPROARTS Apps 見積・請求オプション」を導入。業務の効率化だけでなく、社内コミュニケーションの向上を実現した。
ユーザー企業:エミライ
設立は2011年。ITを活用した企業のBCP(事業継続計画)に向けたコンサルティング事業や、オーディオ関連機器を中心とする海外製品の輸入販売事業を展開している。
プロダクト提供会社:日本オプロ
プロダクト名:「OPROARTS Apps見積・請求オプション」
【課題】Excelでは手に負えない
エミライは、ITを活用した企業のBCP(事業継続計画)の実現に向けたコンサルティング事業と、オーディオ関連機器などの海外からの輸入製品の販売事業を手がけている。東京・大崎に事業所を構え、オーディオ機器などの輸入製品は、群馬・高崎の倉庫で保管している。社内のIT基盤の整備には力を入れており、例えば、大崎の事業所と高崎の倉庫で、いつでも従業員がやり取りできるようにウェブ会議システムを導入している。しかし、こうした最新システムの構築は進んでいたが、会社の設立が2011年と新しく、従業員が少ないこともあって、帳票の管理にはExcelを利用していた。
輸入製品の販売事業が成長してくるにつれて、繁忙期には数百台単位でオーディオ機器を取引するケースが増えてきて、課題が表面化した。「いつ、だれが受発注したのか、進捗状況の管理ができなくなってきた。その結果、顧客に迷惑をかけてしまい、取引に影響が出てしまうこともあった」(河野代表取締役)。
そこでエミライは、案件の進捗をスムーズにして、顧客管理を徹底するために、セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドサービス「Salesforce CRM」を導入。「Salesforce CRM」を利用すれば、顧客ごとの対応履歴を従業員が共有することができ、基本的な帳票機能も搭載されているので、「業務効率を改善することができ、一定の成果を得ることができた」(河野代表取締役)。
成果は実感していたものの、エミライは帳票管理の面で一つの課題を抱えていた。「『Salesforce CRM』には見積書を作成する機能が標準で搭載されているが、納入書の作成機能がなかった」(河野代表取締役)のだ。実は、エミライの主力商品であるハイエンドオーディオの業界では、「見積書よりも納入書を重要視する顧客が多く、しかも企業ごとに帳票の形式が異なっているので、カスタマイズできる帳票ツールでなければならなかった」と河野代表取締役はいう。そこで、エミライは、見積書から納入書までを通して作成できるツールを検討し始めた。
【解決と効果】業務効率の改善プラス社内コミュニケーションの円滑化
ツールを検討するにあたって重視した点は、Salesforceと連携をとれるものであるかどうかということだった。顧客管理にSalesforceを使いながら、それとは別に帳票専用のシステムを構築するのは非効率で、コスト面での負担も大きいからだ。そこで、Salesforce上で稼働する日本オプロのアプリケーション「OPROARTS Apps 見積・請求オプション(見積・請求オプション)」を採用した。
「見積・請求オプション」は、事前に登録した商品一覧から選択するだけで、見積書、請求書、納入書などの帳票を作成できるアプリだ。カスタマイズにも対応している。一つの案件ごとに、複数の帳票を登録でき、帳票は履歴として蓄積されるので、従業員は案件の進捗状況を管理しやすい。
導入前は、一つの案件に対して、コールセンターは顧客対応、営業は商談、入出金処理は経理と、複数の部署がばらばらに業務を遂行しており、案件の内容や経緯を、部署をまたぐたびに説明し直さなくてはならなかった。導入後は、そうしたネックが解消された。コールセンターで顧客対応した者がSalesforceに履歴を残し、営業チームが帳票を作成して受発注し、経理部門がそれを確認して入金処理をするという一連の流れを、すべて「Salesforce CRM」と「見積・請求オプション」上で実行できるようになったのだ。結果として、「業務効率を500%向上して、従来よりも少ない人員でより多くの案件に対応できるようになった」(河野代表取締役)と満足げだ。
業務効率の改善とともに、エミライでは、社内コミュニケーションの向上を実現した。河野代表取締役は、「バラバラに感じていた組織の壁がなくなって、人間関係構築のコミュニケーションが逆に増えた」と効用を語る。(真鍋武)
3つのpoint
Salesforce上で稼働
帳票のカスタマイズが可能
業務効率とコミュニケーションの向上