NTTドコモ中国法人の都客夢(上海)通信技術(ドコモチャイナ)は、インフォテリアが開発したスマートデバイス対応のコンテンツ作成・配信・閲覧システム「Handbook(ハンドブック)」を採用した。ドコモチャイナは、「Handbook」がもつスタイリッシュでストーリー性を重視したプレゼンテーション能力を高く評価して、主に企業向けモバイルソリューションやシステム構築(SI)を手がける営業部門で活用し、成果を上げている。
ユーザー企業:都客夢(上海)通信技術(ドコモチャイナ)
ドコモチャイナはNTTドコモ100%出資子会社として2008年6月に設立。企業ユーザー向けモバイルソリューションやシステム構築、移動通信関連システムのコンサルティングサービスなどを手がける。
プロダクト提供会社:インフォテリア
プロダクト名:「Handbook」
【課題】説明商材の見せ方に課題
ドコモチャイナの法人向けビジネスは、モバイルを活用した現場からの業務レポートや、勤怠管理などのITソリューションを提供している。
法人向けITソリューションは典型的な説明商材なので、ストーリー性をもったプレゼンテーション能力が問われる。企業ユーザーに向けて、業務の課題を解決し、売り上げや利益にこのように結びつくというロジックを営業担当者がうまく説明できなければ、売れるものも売れなくなってしまう。
ドコモチャイナは2008年6月に設立された比較的新しい会社で、事業もこれから一段と大きくしていくフェーズにある。すべての営業担当者に説明商材を売るスキルをどう効率よく身につけさせていくのかという課題を抱えていた。
そこで目をつけたのが、インフォテリアの「Handbook」である。中国のあるイベント会場に展示してあった「Handbook」を見て、「スタイリッシュでストーリー性を重視した仕組み」(ドコモチャイナの出嶋友洋副総経理)を評価。2012年8月からドコモチャイナの主に法人向け営業で本格的な活用を始めることを決めた。
採用するにあたって、ドコモチャイナ社内で「Handbook」を調べてみると、実は、日本国内ではNTTドコモの法人販売チャネルで販売していることがわかった。「自社で代理販売していたことを、初見ですぐに思い出せなかったのはうかつだった」(ドコモチャイナの出嶋副総経理)と苦笑いするが、インフォテリア中国法人の山崎将良総経理は「実際、中国で営業活動をしていると、日本では『Handbook』のユーザーであっても、中国法人ではまだ使っていないケースはけっこうある」と話す。

右からインフォテリア中国法人の山崎将良総経理、ドコモチャイナの出嶋友洋副総経理、山田孝マネージャー、インフォテリア中国法人の張鼎凱マネージャー【解決と効果】新人営業の教材としても役に立つ
実際に「Handbook」を使ってみて役立ったのは、まず第一に見栄えがいい=スタイリッシュであるという点。営業現場では見栄えのよさは実はとても重要な要素で、「紙の資料を鞄のなかからゴソゴソと出している野暮ったい営業は、今の時代にそぐわない」(ドコモチャイナの山田孝・アカウントマネージャー)。iPadなどのタブレットをさっと出して、発色のいい画像や動画を見せれば顧客の関心を引きやすくなるという。
二つ目は、あらかじめ顧客の課題を解決するためのストーリーを用意しておいて、これを営業スタッフ全員と同期できる点。顧客が抱える課題や状況によって、例えばシナリオA、シナリオB、シナリオCなどとあらかじめ用意し、これを「Handbook」がインストールされたスマートデバイスに配信しておく。アイコンの並び順まで指定できるので、自力でシナリオをうまくつくれない新人の教材としても役立つ。山田マネージャーは「経験が少ない新人の営業担当者でもシナリオに沿って『Handbook』のページをめくることで、筋道だった課題解決に向けた提案が容易になる」と満足げだ。
三つ目は、営業をかけるタイミングが重要な期間限定キャンペーンなどで、キャンペーン告知期間に合わせて販促資料を営業部員に配信し、営業のシナリオに織り交ぜながら展開する仕組みとして活用できること。インフォテリア中国法人の張鼎凱アカウントマネージャーは「キャンペーン情報の配信は、季節ごとに商材が変わる小売店でも多く活用されており、製造業では新製品のマニュアルのアップデートなどに応用されている」とアピールし、さまざまな業種・業態での活用が進んでいると胸を張る。(安藤章司)
3つのpoint
タブレットの活用で営業スタイルを刷新
シナリオを営業全員で共有して展開
キャンペーンや新人教育にも役立つ