その他
組み込みソフト復活なるか RTとM2Mのサービス基盤の構築を急げ
2013/04/25 14:53
週刊BCN 2013年04月22日vol.1478掲載
日本の組み込みソフト産業は復活するのか──。それは、RT(ロボットテクノロジー)とM2M(マシン・トゥ・マシン)を組み合わせて、サービスプラットフォームを構築できるかどうかにかかっている。
例を挙げよう。サラリーマンの太郎(35歳)、一児の父、16時に仕事を終え、帰路の電車内。スマートフォンで家事ロボットとチャットで会話する。太郎「今から保育所に寄る」。ロボ「保育所のカメラ映像です」。太郎は映し出されたわが子の姿を見て、「子どもに『パパ、今から迎えに行くからね』と伝えてくれ。それから、上海出張中のママにも今の映像を送っておいて」とロボに指示。ロボ「わかりました。家を省エネモードから通常モードに切り替えます」。太郎「じゃあ17時に切り替えといて」。 このロボは、二本足で家の中をドタドタと歩き回っているわけではない。RTとM2Mを駆使して保育所のロボとHEMS(家庭用エネルギー管理システム)と通信し、映像の転送や制御を行っているにすぎない。ロボット掃除機「ルンバ」のようなものと通信すれば、「今日は居間の入り口に障害物があったので、掃除できませんでした。他の部屋は掃除しました」などと、太郎にレポートすることもできる。もちろん留守中の愛猫の様子も逐一報告できる。ロボとの会話は、iPhoneの「Siri」とやりとりするイメージだ。 実は、これらの要素技術はすでに実用化されているものばかりで、すべてRTとM2Mに集約できるのだ。何も未来のネコ型ロボットの登場を待つ必要はない。足りないのは、これらをサービスとしてまとめ上げる力量である。サービス化するには、個々のデバイスの技術より、むしろサービスプラットフォームの標準化を急ぐべきである。折しも今年5月、組込みシステム技術協会(JASA)は、RT標準化に向けた「Open EL for ROBOT」を発表する予定だ。ほかにも、産業技術総合研究所(産総研)などが手がける「RTミドルウエア」や欧米系の「ROS(ロボットOS)」などがあり、いわゆる従来のFA(ファクトリーオートメーション)ではない、新しいRT市場の形成が急ピッチで進んでいる。 かつてiPhoneが世に出たとき、日本の大手メーカー幹部は「iPhoneを構成する技術要素はすべてもっている」と豪語した。iPhoneという端末は、Appleがサービスを提供するプラットフォームの一部に過ぎないという概念をまったく理解できなかった日本メーカーは、技術要素だけをみて「まだ追いつかれていない」とたかをくくったのだろう。組み込みソフトビジネスがRTとM2Mに集約されようとしている今、この轍を踏むのではなく、標準化されたサービスプラットフォームの構築に業界を挙げて取り組むべきであることは論をまたない。(安藤章司)
日本の組み込みソフト産業は復活するのか──。それは、RT(ロボットテクノロジー)とM2M(マシン・トゥ・マシン)を組み合わせて、サービスプラットフォームを構築できるかどうかにかかっている。
続きは「週刊BCN+会員」のみ ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新) SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…