ディストリビュータのネットワールドでストレージの営業を担当する高田悟さんは、剣道を愛している。現在は「忙しいので、練習していない」というが、スキルを高めて自己の人格形成に努める剣道の精神を生かして、常に新しい提案を試みることに取り組んでいる。会議で発言しても誰も聞いてくれない新入社員だった高田さんがトップ営業に昇り詰めるきっかけとなったのは、ISPから大型注文をもらった案件だ。今回は、その案件を中心に語ってもらった。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
基本設計も営業側で
現在は、ネットアップのストレージ製品がよく売れていて、そのおかげで、会社にこの欄の「トップ営業」に推薦してもらった。しかし、ここまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
通信キャリアから転職してきて、ネットワールドで勤務した最初の2~3年は、苦労の連続だった。IT販社の営業に関するノウハウをもっているわけではなく、社内での立場が弱い。会議で発言しても、自分の言ったことが通るわけがなく、力のなさを感じた。そんななかで、私を支えたのは、小学校の頃から趣味としてきた剣道の経験だ。
私は全国の剣道大会で2位になったことがあって、大学時代を過ごした北海道ではチャンピオンに輝いたという実績をもっている。常に修練に努める──。こうした剣道の精神を意識して、技術などの猛勉強に没頭し、営業の腕を磨いてきた。そして日増しに自信がつき、案件を獲得しながら、頼りになる営業マンとして上司に認めてもらうことになった。
ここで、ネットワールドに入って初めて大口の注文をいただき、ターニングポイントになった案件の獲得についてお話ししたいと思う。有名なインターネットサービスプロバイダ(ISP)にネットワーク機器を提案した案件だ。
猛勉強した甲斐があって、機器の仕様といった技術面の知識が豊富になってきていた。それを生かして、システムの基本設計などをエンジニア部隊に任せるのではなく、営業側である程度ハンドリングし、お客様からヒアリングしたニーズを正確に提案に反映することに挑戦した。
自分が主体となって、チームの体制づくりや機器の仕様のマッチングなどに取り組み、多いときは2日に一回のペースでメーカーとテレビ会議を開いて、カスタマイズなどについての交渉を進めた。オーストラリアで暮らしたときに身につけた英語力をフル活用し、メーカーの米国本社とも直接やり取りをした。
半年をかけて、ようやく機器1台の受注にこぎ着けた。しかし、これだけではこちらの労力を回収することができない。せっかくパイプを築いたのだからと考えなおし、利用についての課題や悩みを聞き、それらを解決したうえで追加の導入を提案した。この戦略が実を結び、受注額1億円に及ぶ大口注文をいただくことができた。
私は現在、販売パートナーを増やすことをミッションとしている。そのために、常に新しい提案を試みることが重要だと考えている。今は「モノ」ではなく、機器販売に何らかの付加価値を付け加える「サービス」が、お客様に求められる商材になりつつある。だから、今後も自己の修養を続け、サービス提案ができる営業を目指していきたいと思っている。
●日常使う営業ツール.......... 高田さんは、5歳、3歳、1歳の子ども3人のパパだ。ビジネス用のiPadにわが子の写真も入れていて、休憩のときに見るのが、何よりの癒やしだとか。子どもの顔を見たら、気分がリフレッシュし、次の営業訪問に励むエネルギーが出てくるという。
●上司からのひと言.......... 「彼はネットワークのエキスパートとして販売パートナーをご支援し、大規模なネットワークの導入で高い実績をもっていた。数年前にネットアップと提携した際に、ストレージの世界に身を投じると瞬く間に知識を吸収し、社内外を問わず“仲間”のネットワークを構築してネットアップのビジネスを急成長させた。今後も仮想デスクトップやクラウド基盤など、高度な提案スキルの求められる案件でパートナーをご支援できるよう期待している」(ストラテジック・プロダクツ営業部の平松健太郎部長代理)