BCN(佐藤敏明社長)は、7月3日、NTTコミュニケーションズ(NTT Com、有馬彰社長)とともに、SIer向けのビジネスセミナーを開催した。中堅・中小企業(SMB)のユーザー企業に向けてIT製品・サービスを拡販する手段や、SMBに受け入れやすいIT商材をSIerに紹介する内容で、会場には約100人が参加。約3時間の講演に耳を傾けた。(取材・文/木村剛士)
船井総研――クラウド事業を説明
今回のセミナーは、合計四つのプログラムで構成。最初のセッションには、中小企業向けのコンサルティングサービスに強い船井総合研究所東京経営支援本部のチームリーダー、斉藤芳宜・チーフ経営コンサルタントが登場して、「クラウドビジネスは今後大きく成長する」という前提で、クラウド事業に着手する際のポイントを話した。

(写真左から)船井総合研究所 斉藤芳宜 チーフ経営コンサルタント、
NTT Com 工藤潤一 営業推進部門長兼企画部門長、
日本CA 辰巳隆久 パートナーアカウントディレクター 斉藤チーフ経営コンサルタントは、「IT商材はハードからソフトに変わり、今はサービスに移ろうとしている。現状はクラウドを売る材料が揃っている」と説明。クラウドを売る秘訣について「クラウドサービスの販売を開始しても、メイン事業をSI(システム開発)にしているようではダメ。クラウドを本気でメインビジネスにするという意気込みと覚悟が必要だ。また、クラウドを販売した営業担当者の評価・報奨制度が確立されていない場合も失敗する」と指摘した。

NTT Comのパートナーであるシステムエグゼの豊嶋功シニアコンサルタント(中央)と、スカイアーチネットワークスの松田昭穂マネージャー シニアコンサルタント(右)は、船井総研の斉藤芳宜・チーフ経営コンサルタントがモデレータを務めたパネルディスカッションに参加。NTT Comと協業するメリットを語った また、クラウドをSMBに拡販するには「間接販売が適切」として、「サービスが特定業種向けの場合は、その業種に強いIT以外の企業を販売パートナーにして、どの業種にも適しているサービスは、各地域に根づいている事務機販売会社やソフト会社と手を組むのがいい」とアドバイスした。また、「販売パートナーを組織化する際は、マージン率は30~50%に設定して、パートナーが儲かる仕組みづくりを優先することが重要だ」と示唆した。
NTT Com――新パートナー制度を解説
続いて登壇したNTT Comの第五営業本部の工藤潤一・営業推進部門長兼企画部門長は、4月に開始したSMB向けの新パートナープログラムを紹介。新制度は、パートナーになるITベンダーの製品・サービスと、NTT Comのクラウドなどを組み合わせて共同ソリューションをつくり、共同でマーケティング・販売するというものだ。パートナーが活用するNTT Comの製品・サービスは限定していないが、中心になるのはパブリッククラウド「Cloudn」やクラウド型ホスティングサービス「Bizホスティング」、音声通話サービスなど。工藤部門長は、「無数に存在するSMBに、直販でアプローチするのは事実上不可能で、ITベンダーとの協業が必要」と説明し、チャネルビジネスを重要視する姿勢を示した。
工藤部門長は、「パートナーのソリューションは、NTT Comのウェブサイトで掲載して見込み顧客情報を取得し、パートナーに提供する」と同社と協業することのメリットを語り、新制度への参加を促した。すでに新制度に参加したパートナーのソリューションが約35個集まっており、「今年度内に100個にする」と意気込みを示した。
NTT Comパートナー――協業の利点を語る
NTT Comのセッション後は、同社の新制度に参加するパートナーとして、日本CA、システムエグゼ、スカイアーチネットワークスが登場した。日本CAは、データマネジメント事業部営業統括部ストラテジックパートナー営業部の辰巳隆久パートナーアカウントディレクターが、バックアップとレプリケーション機能をもつ「CA ARCserveシリーズ」とNTT Comの強固なクラウドインフラを組み合わせたバックアップサービスを紹介した。
また、システムエグゼの営業本部クラウド・コンサルグループの豊嶋功シニアコンサルタントと、スカイアーチネットワークスのコンサルティング部の松田昭穂マネージャー シニアコンサルタントは、船井総研の斉藤チーフ経営コンサルタントがモデレータを務めたパネルディスカッションに参加。両氏とも、NTT Comと組んだ理由を「世界に広がるサービス基盤とブランド、信用・信頼力が魅力」と語った。
参加者は、約3時間のセミナーに最後まで耳を傾け、クラウドビジネスやSMB向け事業に関心が高いことを改めて印象づけるイベントであった。