その他
ソフト資産管理の「セーフハーバー」を形成 日本主導のルールでデファクトを握る
2013/09/26 14:53
週刊BCN 2013年09月23日vol.1498掲載
ソフトウェア資産管理(SAM)の国際的なルールづくりを日本のIT業界が主導し、グローバルでSAMツール・ソリューションのデファクトスタンダードとなるような製品を展開する。そんな大きな夢に向かって動き始めた日本のITベンダーがいる。京都市に本社を置くSIerのラクソル(高田俊介代表取締役)だ。
海賊版ソフトウェアなどを使用する企業に対して、不正競争防止法を適用してペナルティを科す新たな動きが米国で広がっていることは、過去、この欄で何度か報じた。主に製造業を対象に、正規にライセンスを取得していないITを使うことを、「違法な手段を使ってコストを下げた」として取り締まるという趣旨だ。こうした動きは、ほかの国・地域にも広がる可能性がある。
ラクソルは、これを大きな商機と捉えている。高田代表取締役は、「ユーザー企業がソフトウェアを使用する際、どうすれば絶対に規制に引っかからないのか、つまり『セーフハーバー(安全港)』が何なのか、誰もわからない状況だ。日本のSAM業界は、そこに答えを提示できる」と話す。
SAMの国際的な基準としては、「ISO19770-1」があるが、これは現時点では認証規格ではなく、管理目標を定めたガイドラインでしかない。しかし日本では、ラクソルも参加する業界団体のソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)が、独自にISOに準拠したSAMの評価認定を行っている。また、こうしたノウハウが国際的にも評価され、日本、すなわちSAMACが、「ISO19770-1」の認証規格化を主導することになった。ただ、現在のロードマップでは、認証規格化が実現するのは4~5年先になる。「それでは遅い。市場に先んじて自分たちがルールを形成すれば、その後のビジネスで大きなアドバンテージを得られるはず」と、高田代表取締役は主張する。
具体的には、SAMACを巻き込んで、SAM評価認定のノウハウや、「ISO19770-1」に則って石川県やラクソルが開発したOSSの資産管理台帳システム「SARMS」を、米司法長官や商務省に、「新たな規制」でのセーフハーバーとして認めてもらうための働きかけを行いたいとしている。「現地の弁護士を雇う必要があるので、数千万~1億円くらいのお金がかかるだろうが、SAMACが主体になれば不可能ではない。実現すれば、それがデファクトとなり、日本のSAMベンダーがグローバル市場をリードする土壌になる」(高田代表取締役)という。同社は、ビジネスチャンスが拡大していることを証明するために、年内に米国への輸出が多いタイに進出する。
ルールをつくった側が圧倒的に有利になるのが市場経済の常だ。他者に先んじなければ大きな果実は得られない。リスクを取ってもチャレンジする姿勢が、日本のITベンダーに最も欠けている要素。その点で、ラクソルの活動は興味深い。(本多和幸)
ソフトウェア資産管理(SAM)の国際的なルールづくりを日本のIT業界が主導し、グローバルでSAMツール・ソリューションのデファクトスタンダードとなるような製品を展開する。そんな大きな夢に向かって動き始めた日本のITベンダーがいる。京都市に本社を置くSIerのラクソル(高田俊介代表取締役)だ。
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