NTTコミュニケーションズ(NTT Com、有馬彰社長)とBCN(佐藤敏明社長)は、11月29日、SIer/ISVのための競争力強化セミナー「クラウドで勝つ! 大手通信キャリアとの協業でつかむビジネスチャンス」を大阪市で開いた。地方のITベンダーにとっても避けて通れないテーマとなりつつある「クラウド」について、IaaS関連商材などにスポットを当てて、ビジネスチャンスを解説した。(取材・文/本多和幸 写真/掛川雅也)

全講演者がパネルディスカッションに参加未開拓のクラウド市場はまだまだある

デロイトトーマツ
コンサルティング
八子知礼氏 大手通信キャリアのNTT Comは、「パートナーとの協業」を重要戦略に掲げ、自社のクラウドサービスや通信回線サービスなどとパートナーの製品を組み合わせ、共同でマーケティングすることでIT需要を掘り起こす姿勢を鮮明にしている。セミナーでは、クラウド商材の市場トレンドや、NTT Comのクラウドサービスとパートナープログラムを解説したほか、NTT Comとパートナーとの協業事例も紹介した。
基調講演は、デロイトトーマツコンサルティング パートナーの八子知礼氏が務め、「激変!モバイル・クラウド時代にSMB市場で売れるITベンダー像とは」をテーマに講演した。
八子氏は、本来、大企業よりもクラウド導入のメリットが大きい中小企業市場が十分に開拓されていない現状を踏まえて、「モバイルとクラウドは非常に親和性が高く、組み合わせることが重要。新しいビジネスチャンスにつながる。製造業の現場などは先行しているが、それ以外の領域でも、生産性向上を提案できるマーケットは国内にまだまだ山ほどある」と指摘。そうした市場を開拓するためには、「IT部門だけでなく、ビジネスライン部門や特定の業種に強みをもつ新しいパートナーとの連携が必要」と訴えた。

NTT Com 西日本
中山幹公氏 NTT Comからは、西日本営業本部第三営業部門担当部長の中山幹公氏が、「SIer/ISVの皆様のビジネスにパワーをチャージするNTT Comのクラウドとパートナー様向けプログラム」をテーマにプレゼンした。クラウドサービスと、その利用に必要不可欠なネットワークを一体的に運用・保守し、グローバルでシームレスにソリューション提供できる同社のIaaSの強みを解説。さらに、パートナーに対して、「ユーザー企業のグローバルなクラウド/DCのニーズをサポートする体制の構築を支援できる。クラウド周辺でさまざまなパートナーリング事例が生まれており、皆さんのクラウドビジネス発展のために当社商材が必ずお役に立てる」と強調した。
NTT Comのサービスを活用した新商材

パナソニック
ソリューション
テクノロジー
松田佳代氏 パートナーとの連携事例では、パナソニックソリューションテクノロジー ソフトウェアグループソフトウェア技術チーム参事の松田佳代氏が「Web会議システムが抱える課題をどのように解決したのか?~SEが語る改善ノウハウと活用事例ご紹介~」と題して講演した。当初は自社DC内の物理サーバーを使ってASPサービスを提供していたが、クラウドに移行するにあたって、NTT Comのクラウド運用基盤を導入。「コストパフォーマンスや通信の安定性が高く、オンプレミスからハイブリッドクラウドまで豊富なバリエーションで運用することが可能なウェブ会議ソリューションに仕上げることができた」と話した。
次いで、アイ・オー・データ機器システム営業部専任部長の中村一彦氏 は、「クラウドサービスとオンプレミスストレージの連携」と題して、オンプレミスストレージと、NTT Comのクラウドストレージサービス「Cloudn Object Storage」を組み合わせた自社のソリューションを披露。「『Cloudn Object Storage』に、社内のNASのデータを随時バックアップすることで、DRも万全になる」と、そのメリットを紹介した。

アイ・オー・データ機器
中村一彦氏 講演がすべて終了した後は、全講演者が参加してパネルディスカッションを行い、ITの流通の視点からクラウド商材を売る際の課題などを整理。「クラウドで何かの商材を単独で提供する時代は終わった」などの意見が出された。なお、パネルディスカッションのモデレータは、週刊BCNの谷畑良胤 編集委員が務めた。