沖データ(OKIデータ、平本隆夫社長)は、2013年度第3四半期(2013年10~12月)の国内ビジネス向けプリンタ市場で、シェア10%を達成した。市場全体の出荷台数が落ち込むなか、2013年の年間販売台数を前年比130%以上に伸ばした。5年間の無償保証が売りの「COREFIDO」ブランドが成長をけん引していることに加えて、昨年投入した新製品も好評。これらの製品・サービスをさらに市場に浸透させ、2014年度は、年間シェア10%以上を目指す。(取材・文/本多和幸)

「COREFIDO」の最新製品
「MC780」シリーズ12月単月で初の1万台超え

栗本清
取締役
国内営業本部長 「シェア10%の達成は悲願だった」。OKIデータの栗本清・取締役国内営業本部長は、現在の状況に大きな手応えを感じている。OKIデータの2013年度第3四半期のプリンタ販売台数は、過去最高の約2万4000台。モノクロ/カラーのシングルファンクションプリンタ、カラー複合機、SIDM(シリアル・インパクト・ドット・マトリクス)プリンタという同社のラインアップを合わせたセグメントで、シェア10.1%を記録した。12月の出荷台数だけでも1万2000台となり、単月で初めて1万台を超えた。
同社は2008年10月に、5年間無償保証をうたったビジネス向けLEDプリンタ/複合機「COREFIDO」を発売し、業界に衝撃を与えた。その後、2011年末には「メンテナンス品5年間無償提供」も付加した第2世代の「COREFIDO2」も投入したが、「COREFIDO」シリーズとしては、2013年10月に最初のユーザーの無償保証期間が終わったことになる。栗本取締役は「ちょうどシェア10%を超えた第3四半期に無償保証期間のワンクールが終わったわけだが、近年のユーザーの拡大に大きく貢献してくれた。また、Windows XPのサポート終了によるPC、ITシステムのリプレース需要、さらには大きな受注案件が発生したことが、第3四半期の成果につながった」と分析する。
同社のラインアップは、「COREFIDO」だけではない。プロフェッショナル向けやSIDMも含めて、満遍なく売り上げを伸ばしている。大手ディストリビュータの商流をはじめ、あらゆるチャネルで販売台数が伸びていて、「販売パートナーの拡充を地道に進めてきた効果が現れている」(栗本取締役)という。
2013年第3四半期は、シェア順位も従来の5位から4位にステップアップした。栗本取締役は、「次は表彰台を目指したい」と意気込む。
利益率が高い消耗品

森孝廣
国内営業本部
マーケティング部部長 OKIデータが次の具体的な目標として掲げるのは、年間で10%以上のシェアを獲得することだ。そのための施策として掲げているのが、「COREFIDO」ブランドのさらなる認知度向上だ。同社の調査では、市場の認知度は未だに50%未満で、商品の特性や5年間無償保証サービスの内容を理解している販売店やユーザーは20%程度だという。マーケティングを担当する森孝廣・国内営業本部マーケティング部部長は、「認知度を高めれば、さらなるシェアアップの可能性が十分にある」とみている。そこで、全国キャラバンやローラー活動など、エンドユーザーに近い場所での地道なプロモーションに力を入れる。
既存の「COREFIDO」のユーザーを分析すると、無償保証期間の長さやサポート体制、耐久性に関する評価が高く、7割のユーザーが導入から5年経っても製品を使い続けているという。その7割のユーザーのうちの半数は、アンケートで「リプレースする際も無条件にOKI製品を使う」と回答している。さらに、全ユーザーの4割程度で8割の消耗品の使用を占めているという実態が明らかになっており、こうしたヘビーユーザーの数を維持するとともに、さらに増加させることができれば、消耗品の利益を確実に増やすことができるといえそうだ。
森部長は、「純正消耗品の利用率が非常に高く、競合他社に比べて消耗品で大きな利益を見込めるという点でリセラーに喜んでいただいている。これが定期販売するリセラーの増加や、新たなリセラーの開拓につながっている」と解説する。直近3年間のリセラーの活動状況をみると、OKIデータ製品をスポットで扱ったり、断続的に販売しているリセラーの数は微増だが、定期販売するリセラーが1.6倍に増えており、このことが販売台数増を支えている。今後もリセラーに対しては、ディストリビュータと連携しながら、直接契約に近いレベルの手厚いサポートをしていく意向だ。
また、「COREFIDO」のユーザーを業種別にみると、情報通信業や教育分野ではシェアが高いが、建設業や卸・小売業、飲食サービス業、医療・福祉分野など企業数の多い業種ではシェアが低い。さらなるシェア拡大のためには「業種攻略の視点が不可欠だ」(栗本取締役)として、まずは医療・福祉分野などをターゲットに定め、これらの領域に強いSIer系パートナーと組んで攻略を狙う。森部長は、「ソリューションをしっかりつくって売っていく。そのために、SIer系パートナーとも連携し、業種向けの売り方を模索する部署として、市場開発部を4月に新設する」との方針を明らかにした。成果はパートナーに水平展開する。
また、ハイタッチのかたちでエンドユーザーとの直接のコミュニケーションを図り、ユーザーの“ロイヤルカスタマー化”も推進する。同社の国内プリンタ事業は2012年度に初めて売上高300億円を突破したが、こうした施策により、将来は500億円まで引き上げたいとしている。