BCN(佐藤敏明社長)は、日立製作所(中西宏明社長)と大塚商会(大塚裕司社長)とともに、DB(データベース)システムの高速化ソリューションを紹介するセミナーを3月14日に開催した。ビッグデータ時代に適したDB高速化ソリューションの情報を収集しようと、ユーザー企業の情報システム担当者がセミナーに参加。日立製作所と大塚商会の担当者が、それぞれDB高速化ソリューションの必要性を説いた。(取材・文/佐相彰彦 写真/横関一浩)

ユーザー企業の情報システム担当者が参加DB進化の新たな潮流

Publickey
新野淳一編集長 「ビッグデータ時代の最適な利活用に必須なデータベース高速化を徹底解説!~注目を集めるDB高速化ソリューションの必要性とは?~」と題して開催されたセミナーでは、大量のデータを分析する際に効果を発揮するDBシステムの高速化ソリューションを軸とする催しや解説が行われた。
基調講演では、ITジャーナリストでブログメディア「Publickey」の新野淳一編集長が「ビッグデータ時代に期待されるデータベース高速化技術とは」をテーマに話をした。新野編集長は、モバイルデバイスやセンサ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの普及で大量のデータが発生しており、データを分析して価値を生み出すことの重要性を説明したうえで、「データベース進化の新たな潮流が起きている」と訴えた。具体的には、NoSQLやHadoopなどの登場によってコモディティ化した安価なサーバーとハードディスクを大量に並べて高速処理を実現できる「DB技術の進化」、メインメモリやフラッシュメモリの低価格化と大容量化による「ハードウェアの進化」、クラウドや統合アプライアンスの登場による「インフラの進化」の三つを挙げた。とくに、「インフラの進化」ではRDB(リレーショナルDB)の内部構造が進化することによって列ごとの効率的な処理で高速化を実現する「カラム型DB」が主流になるという。このような点を踏まえて、「今後、エンジニアが技術力を高めていくことがポイントになる」と述べた。
DB高速化の需要が高まる

日立製作所
福井正志主任技師 続いて、日立製作所のITプラットフォーム事業本部の福井正志主任技師が、「データベースのI/O特性とフラッシュメモリーとの親和性」と題して、システム担当者の悩みを解決する方法を解説。朝までかかる夜間バッチを速くしたり、DWH(データウェアハウス)でのデータ抽出によって処理時間が増えることに対応したりしなければならないシステム担当者が増えている状況にあって、「データの増加につれて処理時間が増大し、処理時間を短縮するためにDB高速化が重要になりつつある」との見解を述べた。一般的に、HDDを中核とするシステムが主流のなかで、I/Oが滞ることによるバッチ処理の多重化で想定を超えて遅くなっている現状がある。そこで、フラッシュメモリを使う優位性、HDD互換インターフェースを装備したSSDの特性を紹介。従来のシステムの問題点やフラッシュを使った高速化、フラッシュドライブの活用を詳細に説明した。また、オラクル製DBソフト「Oracle Database」のデータを高速処理する、安価で導入しやすいSSDを使ったソリューションの事例を紹介した。
高速化ソリューションをアピール

大塚商会
松下浩之主任 最後に、大塚商会のテクニカルソリューションセンターデータベースソリューション課の松下浩之主任が「Oracle RAC on SSD 高速化ソリューション」について説明。「Oracle RAC on SSD 高速化ソリューション」とは、Oracle Databaseの追加機能であるクラスタリングを実現する「Oracle RAC」が最大のパフォーマンスを発揮するように、サーバーやSSD搭載ストレージ、周辺機器をあらかじめセットアップするものだ。ハードウェアで「Oracle Database」を高速化する、このソリューションを提供するうえで大塚商会が取り組んでいるサービスや、日立製ストレージの高信頼性をアピールした。
ユーザー企業のシステム担当者向けのセミナーとして、システムにおける現状の課題を取り上げながら、新しい技術や製品をわかりやすく説明して解決策を導き出すという内容で、参加者は熱心に講演に耳を傾けていた。