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日立製作所 DB高速化ソリューション for Oracle RAC on SSD DBを劇的に高速化 SSDへの置き換えをスムーズに

2014/03/27 19:55

週刊BCN 2014年03月24日vol.1523掲載

 データ量が増加して、DB(データベース)の夜間バッチが朝までに終わらないという悩みを抱えている企業は少なくない。これを高速化する有益な手段が、ストレージをHDDからSSD(Solid State Drive)に置き換えることだ。日立製作所(日立)では、SSDへの置き換えを最適化する「DB高速化ソリューション for Oracle RAC on SSD」を提供、高速化を実現している。

DB性能のボトルネックを
ストレージのSSD化で大きく改善

 企業が取り扱うべきデータ量が急激に増加するなか、システムのDB処理を高速化することは、急務の課題として上がっている。DB処理の高速化には、ソフトウェア面からとハードウェア面からのアプローチがあるが、ソフト面でのアプローチとなるとアプリケーションやDBを見直さなければならず高度なノウハウが必要なため、投資対効果を考えると現実的ではない。これに対して、ハード面でのアプローチなら、ハードの入れ替えだけで済む。

 ハード面のアプローチでDB性能に大きな効果が見込まれるのが、ディスクI/Oを高速化することだ。ここ10年の間にCPU性能は飛躍的に向上しているのに対して、ストレージ装置の性能を決めるHDDの回転数はまったく向上していない。つまり、ストレージ性能を改善すれば、DBの性能も劇的に改善することができるわけだ。

 そこで注目されているのがSSDである。SSDはI/Oの性能として、トランザクションログの書き込みなどのデータを順番に書き込むシーケンシャルアクセスはもちろん、表領域データの更新のように配置情報をインデックスから割り出して直接格納されているアドレスにアクセスするランダムアクセスにすぐれているため、高速化が見込まれる。一般に、分析系業務ではシーケンシャルアクセスが多いとされるが、処理方式によっては分析系でもランダムアクセスが多くなる。

 とくに、多くの企業が導入しているOracle DBのEnterprise Editionに搭載される「Oracle Parallel Query」は、クエリ処理を分割して並列化するため、I/Oも細かく分割されてHDDにはランダムアクセスとして到達してしまうことが多い。バッチ処理を並列化した場合も同様だ。HDDでは向上しなかった性能が、SSD化によって高速化されるというわけだ。

 「OSの性能モニターにはCPU稼働率は表示されるが、ストレージのビジー率は表示されないので、ストレージボトルネックに気づかないことが多い。したがって、ほとんどのDBではストレージを高速化すれば、CPUをもっと有効に活用し高速化することができる」と、ITプラットフォーム事業本部プラットフォームサービス開発本部PFコンピテンスセンタ 主任技師の福井正志氏は指摘する。

 さらに、コスト面でもSSDは数年後にはSAS HDDを逆転すると予想されているなど、導入の敷居はかなり下がってきている。

(左から)ITプラットフォーム事業本部 プラットフォームサービス開発本部 PFコンピテンスセンタ 主任技師 福井正志 氏、ITプラットフォーム事業本部 プラットフォームサービス開発本部 オラクルビジネス統括センタ 主任技師 森中雄 氏

さまざまな処理を高速化できる
オープンなシステム

 ただし、単にHDDをSSDに入れ替えるだけで大幅な高速化が実現できるわけではない。SSDの性能を最大に生かすには、どれだけ多くのI/O処理を並列化できるか、あるいは時間あたりにどれだけのデータを読み込めるかなど、ハード全体のバランス調整が必要だ。

 その点、日立の「DB高速化ソリューション for Oracle RAC on SSD」では、高速・高帯域コントローラ搭載の日立ストレージと、複数のFCカードを搭載する日立ブレードサーバーを組み合わせ、最適化したRAID構成と接続パス構成によってI/Oのボトルネックを解消する。その上でOracle ASMやパス冗長化のHDLM(Hitachi Dynamic Link Manager Advanced)などを使い、Oracle RACシステム全体の性能を向上させている。

 「処理内容がバッチかオンラインかにかかわらず、すべてを高速化することが可能でファイル操作などのOracle以外の処理にも幅広く適応できる。また、OSにWindows ServerやRed Hat Enterprise Linuxを採用するため一般的なミドルウェアが採用可能で、これまでの運用を変える必要がない」と、同本部オラクルビジネス統括センタ主任技師の森中雄氏は強調する。

最大で数百倍の高速化
オラクルの最上位パートナー

 では、このソリューションによって、どのくらい高速化できるのだろうか。

 日立がユーザー企業と実施した実証実験の結果がある。ある製造業のユーザーでは深夜開始で朝までかかっていた夜間バッチが1時台に終了。また、数年前に導入した金融業のBIシステムが最大300倍以上の高速化を実現したケースもある。さらに、小売業の商品管理システムで、DBから抽出したデータ加工の処理が200倍以上の高速化を実現するなど、さまざまな処理で大きな成果を上げている(表参照)※。ハードの力で高速化することにより、DBに限らずI/Oがメインとなるすべての業務を高速化できることが理解できる。


 SSDを本番業務へ適用するときに、よく話題に上がる懸念材料の一つがSSDの信頼性だが、例えば、SSDで構成したDBを1日10回すべて書き替えるという処理を、5年間毎日続けても寿命に到達しないというほどSSDの信頼性は高い。また日立と保守契約していれば、5年以内に万が一、寿命に到達しても無償で交換できるというのも安心だ。

 日立はグローバルで12社、国内は2社しかないオラクルの最上位パートナー『Diamond』に認定されており、その実力は折り紙つきだ。「これまでの20年以上にわたるアライアンスの下、金融や流通などの社会インフラシステムのOracleサポートを行ってきた。日立のサーバー、ストレージは、米国オラクルにて最新版のOracle Database 12cの開発/検証で使用されており、Oracle DBとの親和性は非常に高い。Oracle DBをはじめとした業務の速度に課題をお持ちなら、ぜひ一度相談してほしい」と、森中氏は力を込めて語る。

※高速化の効果として表している数値は日立の検証により算出
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外部リンク

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/products/it/server/portal/solution/