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新年度にあたって学校向けITに注目 「利活用を促す」提案に商機あり
2014/04/03 21:02
週刊BCN 2014年03月31日vol.1524掲載
日本の多くの企業と公共機関は、4月1日に新年度を迎える。2014年度(14年4月~15年3月)は、ユーザー企業が景気回復を見越して積極的にIT投資を行い、官公庁や自治体、学校などの公共機関は、政府が推進するIT政策を受けて、ITに投じる費用を増やそうとしている。さまざまな業種・業態の企業・団体のなかでも、ITの利活用がまだ十分に進んでいない学校に焦点をあてて、現在のIT利用状況と、ニーズが見込める分野を探る。
ネットワークとコンテンツが未整備
文部科学省が全国の公立学校(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校および特別支援学校)を対象に行った調査資料「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」(2012年9月公表)をみると、学校で導入が「進んでいるIT」と「進んでいないIT」が明確に分かれている実態がわかる。
導入が進んでいるIT機器は、教員が校務で利用するコンピュータ(パソコン)だ。12年3月時点で100%を超えており、すべての教員に一人1台のパソコン環境が整っている。そして、社内LANとインターネット接続環境もほぼ整備が完了している。12年3月末時点で、校内LANは83.6%で、高速インターネット接続率は98.4%に達している。
一方で、進んでいないものは何か。まず生徒が利用するコンピュータが足りていない。1台のコンピュータを6.6人が共同利用しているのが実情だ。教員には端末が行き届いているのに、肝心の生徒はコンピュータを共有せざるを得ない状況になっている。
また、無線LAN化も遅れている。校内LANとインターネット接続環境はほぼ整っているものの、無線化しているケース(校内LANを整備する普通教室のうち、無線LANを整備している割合)は、全体の23.7%しかない。さらに普及率が低いのはデジタル教科書の利用で、22.6%にとどまっている。教員のハードウェアは揃っているが、ネットワークが時代遅れで、ハードを生かすためのコンテンツやソフトウェアの導入が進んでいない。こうした状況は専門学校や大学でも変わりはない。
教員研修にニーズあり
この状況からいえるのは、今後はネットワークの増強と、整備したITインフラを生かすコンテンツとアプリケーションソフトの導入を進める必要があるということ。政府の教育情報化プランでも「利活用」、つまり整備したインフラをどう生かすかを課題に挙げており、ここにITベンダーの商機がある。
また、生徒が使うコンピュータの整備も必須だ。政府は長期IT戦略の一環で、生徒一人につき、1台の情報端末を提供することを標榜しており、その主役になるであろうタブレット端末の需要も見込めそうだ。
もう一つ見逃せないポイントが、教員の研修だ。文科省の資料によると、11年に政府が定めた教員のITスキル「ICT活用指導力」を養うための研修を受講した教員は、全体の22.2%しかいない。ハードが整い、そして今後はコンテンツやソフトウェアが整備されても、それを利用する教員のITスキルが追いつかず、結果的に整備したITが使われない状況を生みかねない。そうした事態を招かないための研修サービスも、今後はニーズが出てきそうだ。
IT業界には、学校向けに広くITの導入を促進しようと、さまざまなイベントで、教育のIT化を促進するベンダーが存在する。最近でいえば、教育向けITソリューションの大手である内田洋行が、教育関係者とITベンダーをつなぐイベント「New Education Expo 2014」を今年6月に東京と大阪で開催する。OKIデータは1月に、専門学校のHAL東京と組んで、学生向けコンテストを開いている。ITリテラシーが比較的低いといわれる学校、教員向けに、こうしたイベントを通じて身近に感じてもらい、販売に結びつけていこうとする動きが出てきている。
日本の多くの企業と公共機関は、4月1日に新年度を迎える。2014年度(14年4月~15年3月)は、ユーザー企業が景気回復を見越して積極的にIT投資を行い、官公庁や自治体、学校などの公共機関は、政府が推進するIT政策を受けて、ITに投じる費用を増やそうとしている。さまざまな業種・業態の企業・団体のなかでも、ITの利活用がまだ十分に進んでいない学校に焦点をあてて、現在のIT利用状況と、ニーズが見込める分野を探る。
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