コンピュータが学習能力をもち、自らアクションを起こす「機械学習」の技術を駆使して、ビッグデータの活用を自動化する動きが始まろうとしている。高度な解析スキルを身につけてデータから価値のある情報を探り出すデータサイエンティストが不足している情勢下にあって、機械学習には、本格的なビッグデータ活用につながるツールとして注目が集まっている。
ビッグデータ事業のブレインパッド(草野隆史社長)は、このほど、米国シリコンバレーに本社を置き、機械学習のプラットフォームを提供するSkytree(マーティン・ハックCEO)と販売代理店契約を締結した。Skytreeの国内初の販売会社として、同社の製品を日本のユーザー企業に売り込む。Skytreeは米国で、電力会社や金融機関など、大手企業をはじめとする約40社に製品を納入し、「毎年、30%以上の勢いで売り上げを伸ばしている」(ハックCEO)という。
大手ITベンダーとの提携も
Skytreeは、日本では、製造業を中心に「改善」の考えが根づいており、自動化に対するマインドが高いと捉えている。大手企業に強く、顧客ベースが整っているブレインパッドと組んで、市場開拓に乗り出す。
Skytree製品は、コンピュータが過去のデータをもとに“知識”を得て、新しいデータの意味を認識して未来に何が起きるかを予測する。ブレインパッドは、自社のデータサイエンティスト部隊が後方でデータ分析・活用の過程をサポートするかたちで、Skytree製品の提案に取り組む。「機械」と「人」を組み合わせ、効率的でかつ精度の高い分析につなげることによって、機械に頼った分析に対するユーザー企業の懸念を払しょくし、案件の獲得を図る。
機械学習の分野では、IBMが先駆者になって米国や日本で提案活動に注力している。ブレインパッドは、Skytree製品を単独で販売することに加え、今後、パートナーとの提携も検討する構えだ。同社はすでに日立製作所などとビッグデータ領域で協業している。今回のSkytree製品の販売開始をきっかけに、ブレインパッドと大手ITベンダーの協業事例がさらに増えそうだ。(ゼンフ ミシャ)

Skytree製品は電力用変圧器など、ライフラインの故障を予測。マーティン・ハックCEOは日本市場の開拓に挑む