「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌を遂げつつある中国。日系ITベンダーは、どのようにビジネスを拡大しようとしているのか。現地のキーパーソンに、これまでの進捗状況や現在の市況感、今後の戦略を聞いた。(構成:BCN上海支局・駐在記者 真鍋武)
日立(中国)信息系統
日立製作所
許亦武 総経理生年と出身 1970年、上海市
中国赴任生活 2011年5月から
今年の個人目標
ゴルフのスコアで100を切る
●売上高3倍を目指し新領域に挑戦 当社は、製造・流通業や金融業を中心に、ITインフラやアプリケーションソフトなどをワンストップで提供している。日系企業を中心に約700社の顧客を獲得し、昨年度(2013年12月期)は約4億元を売り上げた。現在の目標は、今後5年間で売上高を3倍にすること。そのため、政府の国家発展改革委員会が推進する社会インフラ関連のビジネスや、中国のローカル企業など、新領域の開拓に力を注ぐ。
IT導入までに長い期間を要する長期プロジェクトは、中国のローカル企業には、受け入れられにくいと感じている。一方で、短期間に納入できる“目に見える商材”であれば、ローカル企業の決断は早い。すでに製品化している統合システム運用管理ツール「JP1」や、クラウド型のウェブEDI「TWX-21」、医薬品メーカー向けMES(製造実行システム)などに期待を寄せている。ローカルIT企業のパートナーを育成して、拡販していきたい。
市場環境については楽観的に捉えている。日系企業向けビジネスだけでも、年率10~15%は成長するはずだ。自動車産業などの製造業を中心に、規模を拡大している企業が多く、より高品質のシステムへの需要が高まっている。また、中国で導入したシステムを東南アジア地域の新拠点にロールアウトするケースが増えていて、支援できる幅が広がっている。
今後の課題は、いくつかの領域に焦点を定めること。業種や商材の優先順位を決めて、重点的に推進していきたい。
新日鉄住金軟件(上海)
新日鉄住金ソリューションズ
東條晃己 総経理生年と出身 1965年、千葉県
中国赴任生活 2012年7月から
今年の個人目標
中国関連の書籍を中心に100冊を読破
●「absonne」を武器に2ケタ成長 当社は、対日オフショア開発と中国企業向けビジネスを手がけているが、昨年度(2013年12月期)は、初めて現地ビジネスの売上高比率がオフショア開発を上回り、中国の顧客数が約200社となった。顧客は大半が日系企業で、製造・流通・金融業がメイン。最近は、人事・会計管理やワークフローなど、バックオフィス系の案件が増えている。ローカル企業の開拓にも力を入れる方針で、すでに専門の営業担当を配置している。
中国の市況感については、どちらかといえば楽観的に捉えている。昨年度は若干落ち着いていたものの、今年の春節明け以降、製造業を中心に引き合いが増えてきて、受注の獲得につながっている。
とはいえ、コスト競争が激化していることは否めない。そこで、5月にクラウドITインフラサービス「absonne for China」の提供を開始した。日本で提供しているものから、中国企業には不要な機能をそぎ落とすなどして、高品質ながらも低価格で提供している。当社では、これまで手がけてきた案件をもとに、人事管理やワークフローなどのテンプレートを20種類ほどつくり込んでいる。これと「absonne for China」を組み合わせて提案していく。システム環境の構築に時間を要しないことが特徴で、商談時にお客様の目の前でトライアル環境を立ち上げて、その場で試してもらうことができる。
昨年度の売上高は、約1億元。今年度は、「absonne」を前面に押し出して、2ケタ成長を目指す。
提愛斯数碼(上海)
TIS
小川真司 総経理生年と出身 1973年、島根県
中国赴任生活 2011年から
今年の個人目標
運動不足の解消
●業績を伸ばして成長企業の地位を確立 自動車などの製造業系と銀行などの金融業系を中心に、中国でのSI事業を手がけている。日系企業を中心に、これまでに600社のITシステム構築を支援してきた。
顧客の9割ほどは日系企業だが、最近は自動車関連を除いて、製造業のIT投資意欲が落ちているという印象を受ける。そこで、ホテルやレジャー施設など、元気がいい業種向けのビジネスに力を入れている。当社は、スーパー銭湯の「極楽湯」上海1号店の温泉施設管理システムの構築を支援した実績があり、このノウハウを横展開したいと考えている。
現在の課題は、商材が少ないこと。当社の主力製品であるSAPやオラクル、マイクロソフトのERPを扱う競合は多く、自社オリジナルの商材で差異化を図る必要がある。その一環として、昨年10月には、天津提愛斯海泰信息系統(天津TIS海泰)のデータセンター(DC)から提供しているIaaS「飛翔雲」上で、自社商材のeラーニングサービス「楽々てすと君」を発売した。日系企業では、コンプライアンスや社内教育のニーズが高まっていて、順調に伸びている。今後は、人事管理やグループウェアのアプリケーションも「飛翔雲」上に載せて、SaaSのメニューを増やしていきたい。
およそ150社の顧客と継続的に取引しており、すでに黒字化を果たした。昨年度(2013年12月期)の売上高は前年比で60%伸びている。今年はさらに業績を伸ばして、成長企業としての地位を確立したい。
京瓷信息系統(上海)
京セラコミュニケーションシステム
中井一夫 総経理生年と出身 1955年、兵庫県
中国赴任生活 2012年2月から
今年の個人目標
中国各地を一人旅する
●中国独自の新パッケージを初めて投入 昨年度(2013年12月期)の売上高は、約10億円。このうち、京セラグループの中国拠点のITサポートビジネスが6割、オフショア開発が2割を占めている。残りの2割が、中国の日系企業向けビジネスだ。現在、この外販に力を入れている。
その一環として、今年はERPビジネスに力を入れる。4月には、ERPを専門に扱う部隊を設置した。主な商材は二つ。一つは、生産管理に強いインフォアのERPパッケージ「Infor SyteLine」。そしてもう一つが、中国でのシステム開発で蓄積したノウハウをもとに、新たに開発した販売管理パッケージ「GROW-PBS」(仮称)だ。
「GROW-PBS」は、日本語と中国語に対応し、中国で多くの企業が採用している用友ソフトや金蝶国際ソフトグループの会計ソフトと連携するUI(ユーザーインターフェース)を備えている。すでに営業は開始していて、まずは2~3社に導入してもらい、細かい要望を取り入れて製品を改良し、その後で本格展開する計画だ。
中国の市場環境は、新しく工場を設ける日系の製造業は少ないかもしれないが、販売先として中国市場を開拓しようと進出する企業は今後も拡大すると予測している。「GROW-PBS」を開発したのもそのためで、スタートアップの日系中小販社に向けて売り込みたいと考えている。将来は、主力とする販売管理だけでなく、人事管理や生産管理の要素も取り込んで、ERPとして販売する構想をもっている。
網標信息技術(上海)
ユニアデックス
大倉淳一 総経理生年と出身 1958年、東京都
中国赴任生活 2011年2月から
今年の個人目標
ゴルフでスコア90以下を目指す
●セキュリティ対策などで付加価値を発揮 当社は、日系企業を中心に、ネットワーク機器やサーバー、パソコンの手配、セキュリティ対策、保守サポートなど、オフィス業務に必要なITインフラ・サービスをワンストップで提供している。最近は日系企業だけでなく、外資系企業の中国拠点の立ち上げを支援する機会も増えている。
ここ一年は、日本の中堅クラスのユーザー企業が東南アジアへ進出するケースが増えてきて、大型のIT案件が減少傾向にある。しかし、中国から撤退する企業が増えているわけではない。「China+1」といったところか、中国に加えて東南アジアにも拠点を設け始めたというのが実際のところだ。当社グループは、中国を含めたアジアの7か国に拠点を設けていて、複数国のネットワークインフラをつなげたり、ITの運用ポリシーを統一したりする技術に長けている。その意味では、当社グループの競争力が発揮できる状況にある。
また、大型案件が減っているといっても、案件の総数は増えている。コンプライアンスやセキュリティ対策など、これまで手をつけていなかった部分を見直すニーズが旺盛だ。こうした領域は、中国のローカルIT企業では対応できないケースが多く、当社の優位性を発揮できる。
現在、とくに引き合いが増えているのが、高速データ送受信を実現するWANの最適化ソリューションだ。大容量データ転送やバックアップに活用できる。少なくとも、昨年の2倍は販売していきたい。
佳能信息系統(上海)
キヤノンITソリューションズ
伊藤正紀 総経理生年と出身 1959年、北海道
中国赴任生活 現在は出張で、月に10日程度
今年の個人目標
中国語検定「HSK」4級の取得
●キヤノン案件でソリューション力を強化 私が総経理に就任したおよそ3年前から、オフショア開発は先行きが不透明とみて、中国での現地ビジネスの拡大に舵を切っている。着々と成果につながっており、現在、売上高に占めるオフショア開発の比率は10%程度にまで縮小した。
現地ビジネスを推進するにあたって重要視しているのは、キヤノン(中国)との連携だ。社内システムの構築だけでなく、キヤノン製品に当社のソフトウェアを組み合わせたソリューションを、中国の企業に提供している。キヤノン(中国)のチャネルを活用できることがローカル企業の開拓に役に立っていて、現在、顧客の9割方はローカル企業だ。
とくに好調なのが、ネットワークカメラソリューションだ。駐車場の監視など、従来の防犯を目的とした使い方だけでなく、工場の現場で従業員がきちんと作業しているかどうかや、オペレーションにミスはないかなど、スタッフの勤務状況を管理・監督するための新たなニーズが出てきた。そこで、キヤノン製のネットワークカメラにWi-Fiのモジュールを組み込んで、映像をスマートフォンやタブレット端末からモニタリングできる仕組みをクラウドで提供しようと考えている。
2017年度(17年12月期)までに売上高を現在の2.5倍の25億円にすることが目標。このうち、70%は、キヤノン(中国)関連ビジネスを想定している。これが達成できたときは、ソリューションビジネスの力がついているはずなので、自力で外販に注力する。
世存信息技術(上海)
セゾン情報システムズ
高屋敷国弘 総経理生年と出身 1960年、北海道
中国赴任生活 2011年4月から
今年の個人目標
日常会話レベルの上海語の習得
●ファイル転送×データ連携 当社は、親会社のセゾン情報システムズのオフショア開発と研究・開発拠点として、2005年に設立された。私が総経理に就任した2011年4月からは、中国企業向けビジネスに力を注いでいる。ファイル転送ツールの英語版「HULFT 7e」と中国語版の「海度」を中心に、昨年度(13年12月期)はパッケージソフト販売事業で約1000万円を売り上げた。
実は、昨年度のパッケージソフト販売事業の受注額は、7000万円ほどあった。当社は中国のローカル企業を主要ターゲットとしているが、受注した政府関連のプロジェクトが開始しなかったり、途中で凍結してしまったりするなど、売り上げに計上できていないものが多い。これをうまく回収していくことが、今後の課題だ。
中国では、パッケージソフトを単体で提案しても、顧客の反応が思わしくないケースが多々ある。顧客の課題を解決するソューションとして、具体的なメリットを訴求する必要があると感じている。
5月に、セゾン情報システムズが子会社化したアプレッソのデータ連携ソフトの英語版を「海度 DataSpider」として発売した。ファイル転送ソフトとデータ連携ソフトを組み合わせるなど、SIerとの連携を図りながら付加価値の高いソリューションとして提供していきたい。
今年度の目標は、パッケージプロダクトの販売事業を黒字化すること。3年後には、売上高を3億2000万円を超える規模に成長させたい。
畢恩吉商務信息系統工程(上海)
東洋ビジネスエンジニアリング
大塚博文 総経理生年と出身 1961年、兵庫県
中国赴任生活 2012年1月から
今年の個人目標
中国のゴルフ場でスコア100を切ること
●風向きはいつか変わる 当社のミッションは、生産管理システム「MCFrame」や会計管理システム「A.S.I.A.GP」などの自社製品の販売だ。これまで、日系企業を中心に累計30社ほどに納入してきた。
昨年末には、「MCFrame」の簡易版「MCFrame CS Start-Up Edition」と、クラウド版「MCFrame cloud/China」の販売を開始した。中国市場向けに一部の機能を省いて、ITに大きな投資をかけられない企業でも導入できるようにした。すでに数社が導入しており、今後の主力製品になると期待している。業績が好調な日系の自動車関連企業が多く進出している広州などの華南地域の企業に対して、積極的に営業をかけていく方針だ。
しかし、期待の大きさとは裏腹に、日系企業の中国に対する投資意欲はあまり高まっていない。日中の政治関係の悪化を受けて、投資を様子見する企業が多い。そこで、当社は中国ローカル企業の開拓に向けて動き始めた。販売網を拡充するために、中国系のIT企業との協業を模索しており、今年2月には深・、5月には重慶でパートナー向けセミナーを開催した。
今のところ顧客の反応は鈍いが、中国では人件費が高騰しているので、長い目でみれば、システムで生産管理を効率化する需要は増えてくるはずだ。風向きはいつか変わる。今年3月までと比べ、4月以降は徐々に引き合いが増えてきた。下期にかけてこの勢いは増してくると信じている。変化を的確に捉えて、今年度は新規顧客を10社獲得したい。
文雅科信息技術(上海)
ウイングアーク1st
籃島純 総経理生年と出身 1968年、富山県
中国赴任生活 2013年7月から
今年の個人目標
上海のバスを乗りこなす
●クラウドの波に備える 当社は、BIツール「Dr.Sum EA」や帳票作成・運用ツール「SVF」の販売を手がけている。今年3月時点でローカル企業を中心に112社の顧客を獲得した。
最近、中国では不正摘発やシャドーバンキングなどの問題が顕在化し、市場がリセッションに突入するという意見が散見されるようになってきた。しかし、私はこの考えには与(くみ)しない。日本のITバブル期のような爆発的な成長はないかもしれないが、民間企業のIT投資意欲は旺盛であると肌で感じている。
ただ、中国ではユーザーの価格引き下げ要求が強い。そこで当社は、初期費用がかかる売りきりのライセンス販売ではなく、使った分だけ支払ってもらう課金制のサービス提供に乗り出そうとしている。クラウドサービスを提供するパートナー企業と連携して、彼らのプラットフォーム上に当社の製品を組み込んで提供することを検討している。すでに協業の話を進めており、年内には提供を開始したい。
中国は、インフラ環境が整っていないので、クラウドは普及しないという見方があるが、これも間違いだ。技術革新のスピードが速い中国では、この先2~3年でクラウドが主流になるとみている。クラウドの波は、突如押し寄せてくる。乗り遅れないためにも、今から準備しておく必要がある。
この先2年間の目標は、顧客を倍に増やすこと。このうち、新規顧客全体の40%には課金サービスを利用してもらいたいと思っている。
映福法磨貿易(上海)
インフォファーム
大沢正道 総経理生年と出身 1972年、岐阜県
中国赴任生活 2010年12月から
今年の個人目標
世界遺産を10か所巡る
●日本人の減少が新たなIT需要を創出 当社は、日系企業を中心にサーバーやパソコン、OA機器の販売やネットワークの構築など、オフィスのインフラ環境を整えるサポートを総合的に手がけるほか、自社開発のCRM「戦略箱ADVANCED」や、二次元バーコード「カメレオンコード」などを販売している。
ここ1年の間に、上海のビジネス環境は激変した。とくに顕著なのが、コスト上昇や円安、現地化の推進などによる日本人駐在員の減少だ。中国法人のマネジメント層に日本人が少なくなったことで、今まで人で管理していたものをITで管理するニーズが出てきている。例えば、ネットワークカメラ関連の引き合いが非常に増えている。製造業の工場などで、現場の作業員を遠隔地から監視したり、動線管理をするといった案件が多い。当社は、キヤノン製のネットワークカメラの販売代理店となっていて、これに「カメレオンコード」を組み合わせて、ソリューションとして提案していく。
駐在員が減る一方で、日本からの出張者は増えている。出張者は入れ替わりが激しくて、情報共有がうまくできていないケースが多いので、当社の「戦略箱ADVANCED」などで支援してほしいという声が多い。
私はMIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア)コンソーシアムのグローバル委員会上海分科会の会長を務めている。上海でソフトウェア関連の困りごとがある場合、連絡をもらえれば全力でサポートさせていただくので、ひと声かけてほしい。
浦楽熙普信息科技(上海)
プロシップ
山口法弘 総経理生年と出身 1977年、佐賀県
中国赴任生活 2013年4月から
今年の個人目標
駐在して太ったので、5kg痩せる
●幅広い層で固定資産管理の需要が旺盛に 2013年4月、中国での本格的な営業を開始した。当社の固定資産管理システム「ProPlus」シリーズの導入顧客数は2ケタを超えたが、この数字にはまったく満足していない。
固定資産管理を必要とする日系企業が中国には約5000社存在し、そのうちの5~10%が高機能な固定資産管理システムを求めていると推定している。潜在的な顧客はまだたくさん存在していて、開拓の余地が大きいとみる。
すでに、中国での固定資産管理システムに対する需要が顕在化し始めていると実感する象徴的な出来事があった。資産件数が100件ほどの企業が、社内で規則化した固定資産管理の仕組みを形骸化させないために、当社の固定資産管理システムを導入してガバナビリティの強化を図ったのだ。
日本の一般的なユーザー企業が保有する資産件数が1000件程度であることを考慮すれば、明らかに規模が小さい企業が導入したことになる。このほかにも、資産件数が200件ほどの企業が、業務効率化を目的に当社製品を導入しており、企業の規模を問わず固定資産管理のニーズが高まっている。ポテンシャルは日本以上に大きい。
この1年の目標は、日系企業を中心に累計顧客数を100社にまで増やすこと。その後に、設立から3年で累計200社の顧客を獲得し、中国での導入・サポートの実力をつけたうえで、ローカル企業の開拓に舵を切る構想を立てている。
櫻楓天(上海)貿易
インフォテリア
山崎将良 総経理生年と出身 1974年、兵庫県
中国赴任生活 2013年1月から
今年の個人目標
西安、桂林へ旅行する
●具体例を指し示す 当社のコンテンツ管理ツール「Handbook」と、データ連携ツール「ASTERIA」のビジネスチャンスが拡大してきた。中国の日系企業に向けたビジネスには、“地殻変動”が起きていると感じている。ユーザー企業は、中国法人を開発拠点としてではなく、市場を開拓するための販売拠点とみる傾向が高まっている。これによって、営業を効率化するソリューションなどのニーズが旺盛になっている。以前は興味を示してくれなかった企業が、最近は詳しい話を聞きたいと言ってくる。
中国のビジネスについては、提案方法に工夫を凝らしている。例えば、「Handbook」は会議での情報共有や作業現場での資料閲覧など、ユーザーの業務や要望によってさまざまな使い方がある。日本ではユーザー自らに使い方を考えてもらうことが多いが、中国では、用途を絞って営業のプレゼンテーションに活用するツールになると提案している。
「ASTERIA」は、汎用データベース(DB)基盤と説明しても理解してもらえないので、特定のシステムを連携させるためのツールとして提案している。「『何でもできる』は『何もできない』と同じ」という言葉があるが、中国ではその傾向が日本よりも強い。「これができます」と、顧客に具体例を指し示すことが大事だ。
「Handbook」の営業を開始してから1年半が経つが、ユーザー企業数は順調に増えている。今年は、受注がまだできていない「ASTERIA」の第一号ユーザーの獲得が目標だ。