インターネットイニシアティブ(IIJ、勝栄二郎社長)グループは、年内をめどに、法人向けクラウドサービス「IIJ GIO」のインドネシア版を投入する。鈴木幸一代表取締役会長が、『週刊BCN』の取材で明らかにした。中国とシンガポールに続き、(日本を除いて)アジア3か国目での展開になり、「IIJ GIO」を活用してアプリケーション開発などを手がける販売パートナーにとっては、ビジネス展開が可能な地域が広がることになる。
経済成長に沸くインドネシアは、ASEANのなかで最も人口が多い。政治的に安定していることもあって、日本企業にとっての有望市場として注目を集めている。2013年のGDP(国内総生産)は8696億ドル。2007年比で2倍以上の水準に拡大した。さらに、島国のインドネシアは、面積が日本の約5倍にも及ぶ。そのため、場所を問わずにITのリソースを利用することができるクラウドの需要が旺盛だ。
現地色を出す
IIJは、独自商材の「IIJ GIO」を2009年に日本で発売した。2013年、中国での販売開始を皮切りに、アジア展開に乗り出し、将来はアジア主要国に広げることを構想している。現地での提案活動や販売は、グループ会社のIIJグローバルソリューションズを通じて行っている。14年3月に投入した 「IIJ GIO」のシンガポール版は「すでにお客様がついている」(鈴木会長)というように、好調なスタートを切った模様だ。
中国には、北方と南方間の相互接続回線が時間帯によってひっ迫して通信速度が遅くなる「インターネット南北問題」が生じているが、IIJは独自の仕組みによってそれを解決し、現地のニーズを開発に反映して、案件の獲得につなげている。今後、インドネシアでも、日本やローカルのパートナーと密に連携することによって、サービスの機能や提案手法などの面で現地色を明確にすることが、市場を開拓するうえでのカギとなる。(ゼンフ ミシャ)