日経BP社(長田公平社長)は、2014年10月15~17日の3日間、東京ビッグサイトでICT関連の総合展示会「ITpro EXPO 2014」を開催する。ICT関連の「大規模な総合展」という顔と「専門展の集合体」という二つの側面をもつ展示会として注目を集めているが、今回は昨年よりも多い7種の専門展で旬のテーマをカバーしている。「ITpro EXPO 2014」のみどころを追った。
「IoT Japan 2014」を追加
「ITpro EXPO」は、有力ITベンダーが主力製品・サービスを展示するほか、有識者を招いた講演や討論会など、充実した内容を売りにしている。IT業界では、秋の名物展示会として認識されている。
「ITpro EXPO 2014」の冠の下、クラウド関連の製品・サービスを展示した「Cloud Days Tokyo 2014秋」、ビッグデータ関連の「ビッグデータEXPO 2014秋」、モバイル関連の「スマートフォン&タブレット 2014秋」、セキュリティ関連の「Security 2014秋」、SNS関連の「モバイル&ソーシャルEXPO 2014」の専門展を同時に開催する。また、日本文書情報マネジメント協会主催で「eドキュメントJAPAN2014」も併設する。
この6専門展は昨年と同様だが、今回は新たな試みとして、「IoT Japan 2014」を設けた。身の回りのさまざまなモノ(機器)がインターネットにつながる「Internet of Things(IoT)」は、注目キーワードの一つである。各種センサが収集したデータをサーバーに送って、分析することで、世のなかの動きが手に取るようにわかるというIoT。それが実現する時代が到来すること、インターネットへの接続を前提として商品開発が大きく変わりつつあることなどを踏まえ、日経BP社はビジネスの好機と捉えて「IoT Japan 2014」を開催することにした。
クラウドなど既存の専門展も健在
ほかの専門展についても、前回より充実度が増している。今では、オンプレミス型システムよりも先にクラウドの利用を検討する「クラウドファースト」が一般的になりつつあるなかで、基幹系システムをパブリッククラウドに移行する企業も多くなった。ビジネスにイノベーションをもたらす武器としても、フットワークの軽いクラウドが支持されるようになってきている。その状況を踏まえて、「Cloud Days Tokyo 2014秋」では、新しい製品・サービスを出展社が披露し、クラウドの今を伝えていく。
スマートフォンもビジネスシーンでは欠かせなくなったことから、「スマートフォンファースト」といわれるように、スマートフォン向けサービスの開発も最優先で進める傾向がある。「スマートフォン&タブレット 2014秋」では、社内システムや事業者間取引、コンシューマ向けサービスなどで、デバイスからクラウドやデータを網羅した総合的なソリューションを展示。とくに、BtoC向けサービスでは、ますます細分化するユーザーの要求を知る必要が出てきており、このような動向をさまざまな角度から取り上げる予定だ。
スマートフォンに関連して「モバイル&ソーシャルEXPO 2014」では、ソーシャルマーケティング責任者が最先端の情報を収集して体験できる場を提供。オムニチャネル、アドテクノロジー、CRMに関連した製品・サービスを展示する。
このほかに、「ビッグデータEXPO 2014秋」でインメモリDB(データベース)や分析ツール、「Security 2014秋」でIDとパスワードを使った不正なログイン「パスワードリスト攻撃」など、各領域のトレンドを中心に紹介する。
基調講演では話題のキーマンが登壇
「ITpro EXPO 2014」は、展示だけでなく講演を聴くことが目的の来場者も多い。基調講演では、ビジネス・ブレークスルー大学の大前研一学長が、「2020年、日本企業飛躍のカギ」と題して、東京五輪の開催に向けて日本企業に求められることやICTの活用の重要性などを解説。また、インテルの平野浩介・常務執行役員事業開発本部本部長がIoTのトレンドや活用例を紹介しながら、インテルの取り組みを説明する。さらに、全日本空輸の幸重孝典・上席執行役員業務プロセス改革室長とLIXILの小和瀬浩之・執行役員CIO兼情報システム本部本部長という、注目のCIOによるパネルディスカッションも用意している。ほかにも、各展示会に特化したセミナーも盛りだくさんの内容になっている。
来場者は6万人を見込み、昨年の6万4418人と同程度の規模。出展社数は350社(800小間)と昨年にも増して大規模な展示会になる。「ITpro EXPO 2014」は、ユーザー企業のIT投資意欲を高めるイベントとして期待がかかっている。