NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とBCNは、「ビジネス拡大をサポートするクラウド活用~クラウドは“日本品質”に限る!」と題したセミナーを開催した。NTT Comのクラウド「Bizホスティング Cloudn」の紹介をはじめ、パートナー企業の「Bizホスティング Cloudn」を活用したサービスを紹介するセッションやパネルディスカッションを実施した。SIerやISV、ディストリビュータなどが参加した。(取材・文/木村春生(フリージャーナリスト))

パートナー企業によるパネルディスカッションも開催過剰品質は日本企業の武器

畔上文昭
『週刊BCN』
編集長 基調講演では、『週刊BCN』の畔上文昭編集長が、「日本は“過剰品質”で勝負せよ」と題して自説を述べた。
畔上編集長は、グローバルにおけるクラウドの最新動向を解説。「今後2~3年でクラウド市場は急速に伸びて、さらに成長していく。企業が新たに構築するシステムの多くがクラウドを志向しており、オンプレミスとのハイブリッドを含めると約8割がクラウドを活用する方向にある」とした。そして、日本のSIerは、米国や中国のベンダーが主戦場としている「質よりも量」の市場ではなく、「質の市場」を攻めるべきとして、品質の価値を見直す必要性を訴えた。
また、「米国の場合、ユーザー企業自身が専門のSEを数多く抱えて、SIerの業務をこなしている。そのため販社は製品の卸が中心。その点、日本のSIerは世界的にみても独自の存在であり、アジアを中心として、日本型のSIのニーズがある。過剰品質は、日本企業が勝ち抜く武器になる」と訴えた。
中小SIerはクラウド事業者と連携を

NTT Com
林雅之
クラウドサービス部
販売推進部門主査
クラウド・エバンジェリスト セッション1では、NTT Comでクラウドサービス部販売推進部門主査を務める林雅之クラウド・エバンジェリストが、「クラウドファースト時代のクラウドインテグレーターとクラウドサービスベンダーの今とこれから」と題して講演した。
林エバンジェリストは、業界構図の今について触れながら「世界のクラウド事業者においては、すでに淘汰の動きが出ている」として、価格競争やサービス競争の状況を解説した。「それだけに、永続的なサービスを提供できるクラウド事業者の選択が重要になる」とした。
そして、クラウドファースト時代が進むなかで「中堅・中小のSIerは、下請案件の減少、クラウド関連案件への対応、大手SIerとの競合、人材、資金、情報の不足という課題への対処を迫られる」と指摘。これらの問題に対処するために、中堅・中小のSIerはクラウド事業者との連携(クラウドエコシステムの枠組みに入る)を検討すべきとした。そのうえで、SIerによる「Bizホスティング Cloudn」の活用例や、パートナーによる協業例を紹介した。活用例は、コンテンツ配信などの「サービス基盤としての活用」とシステム構築の「インフラ基盤」としての活用に大別されるが、どちらの活用に対しても、ニーズに合わせて容易に協業ができるとした。
「Bizホスティング Cloudn」の魅力を語る
セッション2では、NTT Comのパートナー企業3社が登壇し、「Bizホスティング Cloudn」を活用したサービスを紹介した。
eBASEの窪田勝康取締役は、「パッケージソフトベンダー(ISV)からクラウドサービスベンダー(SaaS)に変身!」と題して講演。ISVであったeBASEが「Bizホスティング Cloudn」の基盤力を活用して、多様な業界業種向けのSaaSに変身した際の秘訣を紹介するとともに、「Bizホスティング Cloudn」を選んだ五つの理由を述べた。
テクニカル・ユニオンの戸倉正貴代表取締役は、「FileMakerホスティング」と題して講演。FileMakerを使い、アプリケーションの共有・公開が行なえるホスティングの導入で、iPhone/iPadからのビジネスデータが外出先でも、安全に活用できることを説明した。
ジグソーの坂本勝也・企画グループマネージャは、「運用の自動化サービスとJIG-SAWのファシリティについて」と題して講演。JIG-SAWで提供している、運用の自動化とそれを実現させるためのロボット型ソフトウェアやコントロールセンターなどのファシリティを紹介した。
最後は、畔上編集長がモデレータを務め、セッション1と2で講演したNTT Comの林エバンジェリスト、eBASEの窪田取締役、テクニカル・ユニオンの戸倉代表取締役、ジグソーの坂本マネージャの4人によるパネルディスカッションを開催した。国産クラウドの魅力、品質への評価、NTT Comとの協業のメリットなどをテーマに活発な議論を展開した。
国産クラウドの魅力では、「為替リスクがない」、NTTというブランドの「ネームバリュー」や、サポートを含めた「安心感」を評価。とくに、「われわれSIerだけでなく、エンドユーザーのサポートもしてくれる」といった発言もあった。
協業のメリットでは、「NTT Comというブランド名を使えるメリットは大きい」「NTTグループのチャネルを使った新しい販路の開拓につながる」「リードを開拓できる」といった声が挙がった。
会場には、SIerやISV、ディストリビュータなどが多く参加。参加者すべてがクラウドサービスでビジネスチャンスをつかもうと、熱心に聴いていた。