マイナンバー(社会保障・税番号制度における個人番号)の通知が、10月1日に始まり、ユーザー企業にとっては、マイナンバーの情報漏えいリスクに備える負担が現実の課題として重くのしかかる。業務ソフト大手の応研は、これに合わせて「大臣マイナンバー収集・保管サービス」を開始した。主力の業務ソフト「大臣シリーズ」と同サービスにより、マイナンバーの収集から保管、利用、廃棄までのプロセスをカバーし、業務担当者の負荷軽減を図る考えだ。

セコムトラストシステムズの国内DCを活用セコムグループとの協業がキーに
業務ソフト分野のマイナンバー対応としては、給与計算、人事管理ソフトを中心に対応プログラムを保守サービスの一環として提供するメーカーが多い。ただし、ユーザーにとっては、マイナンバーの収集・保管など、従来の業務ソフトでカバーできない範囲外の業務が発生し、大きな負担となることが予想される。そのため、業務ソフトメーカーが、これをサポートする新しいサービスの提供に乗りだすケースが多くなっている。
そうしたなか、応研がリリースした大臣マイナンバー収集・保管サービスは、ユーザー企業側のシステムにデータを残さずに、マイナンバーの収集から保管、利用、廃棄までのプロセスを、専有のクラウド環境を使って実行できる。最大の特徴は、総合セキュリティサービス国内最大手のセコムグループとの協業により実現したサービスである点だ。セコムブランドの「安心感」と言い換えてもいいかもしれない。セコムグループで情報通信事業を担うセコムトラストシステムズと業務提携し、同社の国内データセンター(DC)をサービス基盤として活用する。DCでは、セコムトラストシステムズの専任スタッフが関連業務を担当し、24時間365日のシステム監視を行う。
具体的なセキュリティ向上のための取り組みとしては、なりすまし対策として、電子証明書によるクライアント認証でサービス利用端末を管理するほか、ワンタイムパスワード認証を行い、多段階の認証により高度なセキュリティを目指した。加えて、通信とマイナンバーデータは暗号化するほか、マイナンバーデータへのアクセスログはすべて記録する。

岸川剛
取締役
営業部長 応研の岸川剛・取締役営業部長は、「マイナンバーという機微な情報を扱わなければならなくなることに、どの企業も非常に気をつかっていて、自社のシステム内にデータをもつことのリスクを懸念する声は大きかった。とくに、複数の拠点をもつ企業でマイナンバーを個別に分散管理しようとしたら、セキュリティ対策の負荷は膨大なものになる。マイナンバーの収集・保管には、遠隔拠点からも利用できるクラウドサービスで、かつ万全なセキュリティ対策が施されているものが切実に求められていた」と、サービス開発の背景を説明。そのうえで、「情報漏えいのリスクを極力排したかたちで、安心してマイナンバー情報を保護利用できるという点で、他社とは一線を画すサービスに仕立てることができた」と手応えを語る。
大臣シリーズの新規ユーザー獲得にも
また、「さまざまな面でお客様の業務負荷軽減に気を配った」(岸川取締役)のも、大臣マイナンバー収集・保管サービスの売りだという。番号収集フェーズでは、従業員や外部関係者などが、自分でスマートフォンやパソコンからマイナンバーを登録し、本人確認の書類もクラウド上にアップして保管できるようにした。そのため、担当者はオンラインで登録状況の進捗管理や本人確認作業を完結できる。
さらに、マイナンバーの利用や廃棄のフェーズでは、大臣マイナンバー収集・保管サービスと大臣シリーズが自動で連携するため、担当者は情報漏えい対策などをとくに意識することなく業務をこなすことが可能だ。例えば、大臣シリーズでマイナンバーに関連する帳票を出力する時は、同サービスから個人番号を自動的に取得するほか、従業員の退職などで不要になったマイナンバーは、大臣シリーズから任意のタイミングで廃棄ができる。
こうした機能により、当然、大臣シリーズの既存ユーザーには大きなメリットが生まれるが、未導入のユーザー向けにも、マイナンバーデータのエクスポート機能やAPIを用意している。岸川取締役は、「このサービスをきっかけにして、パートナーの皆さんには、給与大臣、人事大臣などを新規のお客様に提案していただくことができる。事実、この2製品は非常に好調だ。また、国内のセキュアなDCを活用したプライベートクラウドサービスということもあって、セキュリティをとくに重視する大手公益法人や金融系のお客様からの引き合いも増えている。大手コンサルティングファームのBPOサービスとの連携なども検証中で、さまざまな角度で商機につながる商材だと自負している」と話す。パートナーと連携し、まずは「細分化した業種別に強みのある領域からブレークダウンしていく」(岸川取締役)方針だ。