2015年11月18日、東京・秋葉原で「digital economy council(dec)第1回カンファレンス」が開催された。「ICTによって社会的な課題解決を目指す」ことを掲げるdecは、レノボ・ジャパンをはじめ、リコージャパン、三谷商事、インテルをエグゼクティブメンバーとした協議会で、21社の企業が初期メンバーとして参加した。当面、「地方創生」「ワークスタイル変革」の二つを課題としてコミッティ(分科会)活動を展開していく。(取材・文/小池晃臣(フリージャーナリスト))

来場者は地方活性化やワークスタイル変革に対する課題解決策を熱心に聞いていた日本のIT活用力を世界最高レベルに

NECレノボ・ジャパングループの使命をアピールするレノボ・ジャパンの留目真伸社長 初のdecカンファレンスが開幕、冒頭の挨拶で登壇したのはレノボ・ジャパンの留目真伸社長だ。留目社長は、「日本のIT活用力を世界最高レベルにすることで、ITの力で日本に活力を与え、真のデジタルライフ・デジタルワークを実現する」というNECレノボ・ジャパングループの使命を改めてアピールした。さらに、「IT業界だけでなく、政府や自治体なども一緒になって、日本が世界最高レベルのIT活用力を取り戻すべく取り組んでいきたい」と強い意気込みを示した。

ワークスタイルの変革や働き方の見直しが重要と説くダイワボウ情報システムの小林裕幸係長 続く分科会活動の成果報告では、ダイワボウ情報システムの小林裕幸・販売推進1部PC1グループLenovo専任係長が登壇。ワーク・ライフバランス認定コンサルタントでもある小林係長は、「ワークスタイル変革:企業への提案 社会課題解決につながるICT活用による働き方の見直し」というテーマで講演した。小林係長は、日本の超高齢化社会と人口減少によって「介護時代」が到来しつつあると指摘。「限られた労働人口のなかで、効率よく最大限に労働生産性を上げていきつつ、人口減少に歯止めをかけることが肝要」と説明したうえで、ワークスタイルの変革や働き方の見直しによって、課題解決を図っていく重要性を説いた。最後に小林係長は、「社会の課題解決に向けたICT活用では、ICTの導入をゴールとせずに、それを十分に活用できる制度づくりや風土づくりを継続していかねばならない」と話し講演を締めくくった。
働き方を変えなければならない
次に「キーマン対談」として、レノボ・ジャパンの留目社長とワーク・ライフバランスの小室淑恵社長が「多様化するワークスタイル×デジタル」をテーマに意見を交わした。小室社長は、「労働人口の不足が顕著になっている」と現状を指摘したうえで、自社でコンサルティングを手がけた企業においては、労働時間の減少と生産性の向上、さらには女性従業員の出生率向上までを実現した事例などを紹介した。
「日本であたりまえと思われれてきた働き方の一つひとつが、今はギャップになっている」という小室社長の見解を受けて留目社長は、「確かに、評価制度や管理者の意識など日本企業には課題がある」と同意を示した。そして留目社長は、ワークスタイル変革に向けた自社の取り組みについて触れ、「働き方を変えていくためには、まず(社長である)私自身が先頭に立たねばならないと考えている。そこで、必要時以外には出社しないようにしたり、そうしたことを是とするようなカルチャーづくりを進めている」とした。
対談の最後に留目社長が、「decを盛り上げていきながら、各社が一体となって、すばらしいソリューションをつくっていきたい」との意向を示したのに対し、小室社長は「生産性を上げつつ人々のQoLも向上できるようにITが貢献してほしい。ITが社会を救うのではないか」と期待を寄せた。
このほか、カンファレンスではヴイエムウェアの鈴木雅貴・ゼネラルビジネス営業本部ストラテジックパートナー第一営業部シニアパートナービジネスマネージャーによる、テレワーク・システムを使った米国からの発表もあった。鈴木マネージャーは、地方創生についての米沢市への提案について紹介。教育現場での校務システムと新「道の駅」に関連する総合観光案内について解説を行った。
カンファレンス終了後には、懇親会が開かれて新しい働き方の必要性や地方活性化などの話題が活発に飛び交った。