ソルフレア（藤縄智春CEO）は、O2Oクラウドサービス「RUNWAY」で大手顧客を次々に獲得している。オンラインとオフライン両方の顧客接点を網羅的にカバーし、顧客満足度を高めるシステムとサービスをパッケージで提供するというコンセプトだ。大手外資系ベンダーのマーケティングオートメーション（MA）ツールをフロント側で補完する商材として、デジタルマーケティング市場のホワイトスペースを開拓する可能性もありそうだ。（本多和幸）

　RUNWAYのサービスは、オウンドメディアの構築・運用が基点となる。ユーザーが扱う商材やビジネスの形態に応じて、集客効果を高めるためのサイト設計や、コンテンツ制作の仕組み・ノウハウ、コンテンツマネジメントシステム（CMS）の機能などをサービスとして提供する。加えて、モバイルアプリの開発もメニューとしてラインアップしている。ウェブサイトだけでは顧客接点が限られるが、モバイルアプリにより、顧客との接触機会を増やすとともに、ユーザー属性を取得したり、プッシュで情報発信することもできるようになる。

　また、ビーコン、Wi-Fi、GPS、NFCなどのセンサ技術を使い、リアル店舗やイベント会場などでの顧客のリアルな動きをデータ化・分析し、モバイルアプリと連動させることも可能で、リアルタイムにさまざまなマーケティング施策が展開できる。さらには、これらを既存ECと連携させたり、オウンドメディア内のコンテンツと連動したオリジナルECの構築・運用もサービスメニュー化したりしている。

　ソルフレアはもともと、「ZIGSOW」というレビューメディアを運用している。RUNWAYはそのノウハウをオウンドメディアのサービスに横展開してスタートしたが、藤縄CEOは、「オウンドメディアの運用だけでなく、それを見にきてくれた人がどれくらい購買まで至っているのか、すべてのプロセスをカバーするソリューションにしたいという狙いがあった」と説明し、RUNWAYの特徴もまさにそこにあると強調する。「CMSやコンテンツマーケティングソリューションを提供するITベンダーは多いが、RUNWAYにはモバイルアプリの要素もあるし、EC機能も網羅している。センサ技術も活用し、IoTも見据えたシステムを提供できる。O2O施策の企画から運用までサポートできるのは当社サービスの大きな強みだと自負している」。オンライン、オフラインを問わず、デジタル化した顧客接点を網羅的に提供することでデータを集約できるようにして、CXの向上につなげていくサービスといえそうだ。

　デジタルマーケティング市場では、大手外資系ベンダーを中心にMAツールの提案が本格化しているが、RUNWAYはメジャーなMAツールと連携して運用される例も出てきているという。藤縄CEOは、「顧客接点となるフロント側のシステムはRUNWAYでカバーして、バックエンドでマルケトのMAツールを走らせるというパターンもある」と話す。こうした市場の状況を踏まえ、MAツールの販社としての機能を担う大手広告代理店や大手SIerとも協業して、拡販を加速させていく考えだ。