ネットジャパン(蒋冠成社長)は、バックアップ市場でのシェア拡大に向け製品を強化している。法人向けシステムバックアップ/リカバリソリューション「ActiveImage Protector」の新バージョン「ActiveImage Protector 2016」をリリース。顧客満足を重視した製品・サポートの提供など、ネットジャパンならではの営業戦略で拡販を図っている。(取材・文/前田幸慧)
次世代へ向けた第一弾

佐藤尚吾
営業本部
営業企画部
部長 ActiveImage Protectorは、Windows/Linuxサーバー向けの物理/仮想マシンに対応する自社開発のバックアップソフトウェア。システム、アプリケーション、データをディスクイメージング技術によってバックアップ/リカバリできる。システムを稼動させたままバックアップする「ホットイメージング」や、シャットダウン状態でバックアップする「コールドイメージング」をはじめ、「増分バックアップ」や「ベアメタルリカバリ」、バックアップ容量を節約できる「重複排除圧縮機能」など、さまざまなバックアップ/リカバリ機能を搭載。ウィザード形式で直感的な操作が可能など、ユーザーが使いやすい画面設計にもこだわっている。
ActiveImage Protector 2016では、新規開発したGUIを採用。バックアップ状況やスケジュール、タスク、ログなどの情報を管理できるダッシュボードを用意するなど、バックアップ/リストアやイメージファイルの操作性をより向上させた。また、「マルチスケジュール」機能によって、フルバックアップだけでなく、増分バックアップにも複数のスケジュールを適用できるようにした。ネットジャパンの佐藤尚吾・営業本部 営業企画部 部長は、「あっと驚くような新機能はないが、例えばUEFIシステムをボリューム単位で復元可能にしたことで、バックアップの自由度を高めることができるなど、技術的には他社を置いてけぼりにするような機能を実装している」と、他社との違いを強調する。
佐藤部長は、今回の新バージョン開発の背景について、「バックアップソフトとしては、(前バージョンである)『ActiveImage Protector 3.5』で基本的な機能を揃えることができたと評価している。次の世代のActiveImageを考えると、まだできていない『統合管理コンソール』をつくっていきたい。それに向けた第一弾として、今回、インターフェースを統合管理コンソールに適合できるものにした」と話す。さらに、「統合管理コンソールができると、ようやく必要な機能を取り揃えることができる」と語ったうえで、バックアップ市場でのプレゼンスを高めていくとの方向性を示している。
大手が幅をきかすバックアップ市場において、ネットジャパンの市場シェアは10%程度という。ここに危機感を抱く佐藤部長は、「シェアが30%くらいなければ、独自のテクノロジーをもっていてもテクノロジーリーダーにはなれず、プライスリーダーにもなれない」と語気を強め、バックアップ市場でのシェアの拡大に意欲を燃やしている。
顧客との関係性を重視
競合大手と戦っていくために、ネットジャパンが何よりも重視しているのが、顧客が満足する製品・サポートを提供することだ。佐藤部長は、「顧客に求めてもらえなければ存在価値はない」と強調し、「他社ではできないようなことでも、何かあれば必ず駆けつけ対応する」と話す。実際に、顧客からは「製品の価格をはじめ、P2V(物理サーバーから仮想サーバーへの移行)やバックアップ/リカバリのスピードとともに、技術支援やサポートに評価をいただくことが多い」と好評を得ているようだ。
また、近年は流通販社を経由した製品の拡販が増えており、東京を中心とした首都圏だけでなく、地方展開にも力を入れている。大手競合他社が東京に強い分、地方では新規開拓がしやすく、「地方でのセミナーの開催やイベントへの出展なども積極的に行い、顧客と顔を合わせてやっている。一回当社の製品を使っていただければ、そこから長いつき合いになるお客様が多い」という。現在、東京と地方の売上比率は半々くらいで、こうした地道ながらも、顧客との関係性に重きを置いた営業・サポート体制によって、さまざまな地域で着実に案件を獲得している。
今後については、「長い目でみているが、まずは20%の市場シェア獲得を目指す。その後、25%、30%と段階的に拡大していきたい」として、統合管理コンソールの完成を期に、市場への訴求を強化していく方針だ。なお、統合管理コンソールは年内のリリースを予定している。