クオリティソフト(浦聖治代表取締役)は、販社やユーザー企業向けに事業概況や製品動向などを紹介する恒例のイベント「VisionQ 2017」を11月1日から全国5拠点で順次開催した。11月2日に東京・神保町で開催したイベントは大勢の参加者で満席となった。東京会場のもようをレポートする。(取材・文/前田幸慧)
「トランスペアレントな安全」でユーザーを守る

浦 聖治
代表取締役 イベントの冒頭では、浦聖治代表取締役が登壇。「これだけは覚えて帰ってほしい」と前置きしたうえで、「クライアント管理からエンドポイントセキュリティへ」との決意を表明。端末をしっかり守ることで企業と従業員を守ると訴えた。
続いて、これまでの事業を振り返り、好調ぶりをアピール。「ISMシリーズ」のライセンス数が40万クライアントに達するとともに、エンドポイントセキュリティ管理ツール「ISM CloudOne」のユーザー企業数は4万7000社を突破、同社製品累計では5万2000社になったと明らかにした。「とくに大企業からの導入が増えている」と話した。
また、11月にリリースした新バージョン「ISM CloudOne 6.0」では、すべての企業に「トランスペアレントな安全」を提供すると強調。「トランスペアレントな安全とは、ユーザーがまったく意識することなく動いている(=保護している)ということ。みなさんにも、『トランスペアレントな安全』を世の中に知らしめてほしい」と参加者に呼びかけた。
情報漏えいのリスクは身近に存在する

小田部昭
情報セキュリティ研究所
所長 続いて登壇したのは、クオリティが今年8月に設立した「情報セキュリティ研究所」の小田部昭所長。昨今発生している情報漏えいの実情と対策について話した。
小田部所長は、情報漏えいの発生件数を原因別でみると、「紛失」「置き忘れ」「誤廃棄」「盗難・車上荒らし」「メールなどの誤操作」がほとんどで、情報漏えいに至る原因の多くは、「情報を預かっている組織の従業者にある」と指摘。情報漏えいリスクをコントロールするには、「回避策」と「低減策」が重要だと主張。
回避策としては、特定個人情報に対し具体的な保護の方法・行動を示すこと、組織として情報セキュリティ研修を全社員に繰り返し行うことが重要だとした。また、低減策としては、物理的な情報保護策を定めて、段階的に保護策を向上させること、技術的な情報保護策を定めて、計画的に実行することをあげた。
ISM CloudOne新バージョンのポイントを紹介

武田いづみ
営業本部市場開拓部
担当課長 続いて武田いづみ・営業本部市場開拓部担当課長が、ISM CloudOneで実現する標的型攻撃型対策について説明した。サイバー攻撃には、「多層防御」と「ぜい弱性対策」が重要だとしたうえで、「まずは、『既知の脅威(ぜい弱性を突いた攻撃/マルウェアによる攻撃)』、『未知の脅威(ゼロデイ攻撃/未知のマルウェアによる攻撃)』といった攻撃ごとに対策をとる必要がある」と強調した。
また、「ISM CloudOneでは、社内の端末情報とソフトウェアの最新情報を記した『セキュリティ辞書』を突き合わせることで、社内端末のぜい弱性を自動で診断し、ぜい弱性のある端末には自動でパッチを配布し、既知のぜい弱性に対処する。未知の攻撃に対しては、定義ファイルに依存しない、動的なエンジンと静的なエンジンを組み合わせた『ふるまい検知』で対処することができる。100%のセキュリティ対策というのは難しい。入り口から出口まで、必要な製品を導入いただきながら、最後の砦としてISM CloudOneできちんと対策していただくことで、安心の環境を提供できる」と語った。

関 哲也
プロダクトマーケティング部
プロダクトデザイングループ
副部長 最後に、関哲也・プロダクトマーケティング部プロダクトデザイングループ副部長が、ISM CloudOneの最新バージョンであるISM CloudOne 6.0についてデモを交えて解説した。バージョン6での変更ポイントとして、「初期設定、日々のメンテナンス、日々の見守りというシンプルなことを誰もが実現できることを目指してデザインした」といい、運用のしやすさ、わかりやすさを追求した機能や画面設計を説明。加えて、API連携を実現し、「皆さんがお持ちのソリューションに組み込むことができる」とパートナーに向けてアピールした。
続いて、今後の製品ロードマップを紹介。ISM CloudOneでは、来年春をめどに新OS、ブラウザバージョンなど、新たな基盤への対応版をリリース。夏頃にはバージョン7へのバージョンアップを行う予定という。IT資産管理ツール「QNDシリーズ」についても、来年春にMacデバイス制御やネットワーク接続制御を強化した「QND Ver.10.4i」をリリースするなどの計画を立てている。また、多要素認証プラットフォーム「Quality EVE MA」の生体認証に顔認証システムを追加、マイナンバーチェックデジットに対応した情報漏えい対策ツールの最新版「QGG Ver.2.1」を来春に提供することなどを発表した。
VisionQ 2017は、11月1日の札幌を皮切りに、東京、名古屋、大阪、福岡の全国5か所で開催された。大勢が参加し満席となった東京会場では、同社のセキュリティ対策に対する関心の高さがうかがえた。