パシフィックビジネスコンサルティング(PBC、小林敏樹社長)は、米マイクロソフトのSMB向けERPパッケージ「Microsoft Dynamics NAV 2017」の日本版、中国版、香港版、タイ版、ベトナム版を4月にリリースした。PBCは、これをSMB向けの業務アプリケーション分野に大きなイノベーションを起こす製品として日本企業に訴求し、新しい市場を創出したい考えだ。(本多和幸)

吉島良平
取締役戦略事業推進室長

 Dynamics NAVは、マイクロソフト自身が製品のローカライズを行ってきた中堅以上の企業向けERP「Dynamics AX(現Dynamics 365 For Operations)」とは異なり、それぞれの地域のパートナーがローカライズを進めてきたという独特なエコシステムをもつ製品だ。PBCは、マイクロソフトがDynamics製品を買収する前からDynamics NAVビジネスを手がけており、日本企業のニーズに合わせ、言語・商慣習対応のローカライズも独自に行ってきた。同社の吉島良平・取締役戦略事業推進室長は、「業務アプリケーションではなかなかイノベーションが起こらないが、NAV 2017はSMB向け製品の領域でそれを変えていくきっかけになる製品だ」と強調する。

 Dynamics NAV 2017は、Cortana Intelligence Suiteに含まれる「Azure Machine Learning」との連携により、機械学習機能を使った在庫や売り上げ、資金繰りの予測などができるようになった。また、レポーティングツールの「Power BI」をDynamics NAV 2017の画面内に埋め込んで分析に活用できるようになったほか、「Outlook」内でDynamics NAV2017の画面を起動し、顧客の与信情報の参照や、見積書・受注伝票の作成・送付もできるようになった。さらに、コーディングなしでユーザー自らがモバイルアプリを開発できるAzure上のサービス「Microsoft Power Apps」や、システム間のデータ接続を簡単に設定できる「Microsoft Flow」とも連携した。

 Dynamics NAV 2017のコンセプトについて吉島取締役は、「『In Office 365』『On Microsoft Azure』『With Dynamics CRM』『Plus Power BI』の四つのメッセージがキーになる」と話す。従来の基幹業務システムの範囲にとどまらず、幅広いマイクロソフト製品とのシームレスな連携が拡大し、これによって「IoTの一部を担う情報伝達製品である『インテリジェントERP』として、新しい価値をもった製品に進化した」(吉島取締役)のだという。単なる業務アプリケーションではなく、ユーザーのデジタル変革を支えるコアソリューションを目指したかたちだ。PBCはこれらのパッケージとしての進化に加え、「Azure Web Apps」や「Azure Bot Service」を活用し、LINEなどのコミュニケーションアプリとの連携や、予測精度をさらに高めたデータ生成ソリューションなど、独自の機能強化も進めていく。また、2層ERP用途を念頭に、他のERPパッケージとの連携基盤も構築し、今夏に提供を開始するという。

 「ビジネスソリューションのイノベーションのポイントは“自動化”だと考えているが、Dynamics NAV 2017がその一助となる。さらに、当社ソリューションやマイクロソフト製品群をフル活用することで、中小・中堅企業も大きな投資なしにIoTに挑戦できる」と話す吉島取締役。PBCは、こうした価値を国内市場に積極的にアピールし、大企業の海外拠点向だけでなく、国内中小・中堅企業のデジタル変革基盤としても積極的に拡販していく方針だ。