日本ヒューレット・パッカード(吉田仁志社長)は、「小規模システム向けコンパクトサーバー」と称した「HPE ProLiant Thin Micro TM200(HPE ProLiant TM200)」を発売した。超小型で省スペースを追求していることが売りだが、最大の狙いはサーバーの用途を広げることだ。クラウドサービスが台頭しているなか、クラウドサービスとの連携を前提としたサーバーと銘打って拡販を図っている。あくまでもハードウェアを追求したビジネスのかたちだ。(佐相彰彦)

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(1)佐藤真人執行役員
(2)Intel Technology Asiaのアデシュ・グプタ ディレクター(写真左)と日本ヒューレット・パッカードの中井大士本部長
(3)本田昌和本部長
(4)超小型サーバー「HPE ProLiant TM200」

ProLiantで最もコンパクト

 HPE ProLiant TM200は、幅254mm、奥行254mm、高さ49.5mmと、日本ヒューレット・パッカードのサーバー「HPE ProLiant」のなかで最もコンパクト。代表的なスリムサーバーと比べても4分の1の大きさを実現している。標準の平置きから縦置き、壁掛けなど、利用シーンに合わせて設置スタイルを選択できるようにした。SoC(システム・オン・チップ)によって、小型で低消費電力を追求。さまざまなサーバーOSに加えて仮想化ハイパーバイザーをサポートするなど、仮想化環境への対応のほか、HPE ProLiantで標準搭載されている管理チップ「Integrated Lights-out 4」の搭載で、リモートでの管理や電力の管理、サーバーの導入から運用(監視)・保守というライフサイクル全般の管理にも対応している。価格は、4コアのインテル Xeon プロセッサ D-1518を搭載したモデルが17万1000円(税別)、8コアのインテル Xeon プロセッサ D-1537を搭載したモデルが21万2000円(同)に設定した。

 小さなきょう体でサーバーの信頼性や管理性を追求しているが、多彩な機能を搭載しているわけではない。パーツを少なく、極力シンプルな構成にした。オンプレミス型システムとクラウドサービスによるハイブリッド環境の利用が進んでいることから、さまざまなソフトウェアを搭載できるようにして、ユーザーニーズへの対応を優先した。具体的なユーザー使用例を挙げれば、クラウドバックアップや監視カメラソリューション、店舗用端末などがある。

 日本ヒューレット・パッカードの本田昌和・データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括DCHC製品統括本部統括本部長は、「ハイブリッド環境が進んでいることから、メーカーとして『ハイブリッドIT』を簡単かつ短時間で構築できる製品を提供していかなければならない。その一つとしてエッジであるサーバーも重要となる。当社では、ハイブリッドITで活用されるサーバーをシンプルにしてインテリジェントにすることで、それを実現していく」と、HPE ProLiant TM200を発売した狙いを語った。

専用のコミュニティを開始

 パートナービジネスを担当する佐藤真人・執行役員エンタープライズアカウント営業統括本部統括本部長は、「パートナーといかに連携して売っていくかがポイントになる」とアピール。これまでは、ISVと販社を対象に日本ヒューレット・パッカードが技術やノウハウを共有して、ユーザー企業に価値を提供する「IT EcoSystem Forum」と呼ばれるコミュニティを全製品で展開していたが、HPE ProLiant TM200に関しては「TM200ソリューションコミュニティ」という専用のコミュニティを立ち上げた。このコミュニティでは参加企業に対して、検証機の貸し出しプログラムや開発・デモ用機械割引プログラムなどの開発支援に加えて、日本ヒューレット・パッカードによるプロモーションや販促物の作成、セミナー・イベントの費用負担などの販売支援も行っている。

 今年3月時点で、コミュニティに20社以上が賛同。佐藤執行役員は、「TM200ソリューションコミュニティは、IT EcoSystem Forumと同等の位置づけで立ち上げた」と訴えている。

SMB市場のビジネス規模を2倍へ

 超小型でシンプルな構成ということで、日本ヒューレット・パッカードではHPE ProLiant TM200を、「まずはSMB市場を対象に拡販していく」(中井大士・データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括DCHC製品統括本部サーバー製品本部本部長)との方針を示している。これは、「クラウドサービスを利用したいが、オンプレミスの環境を捨てられないため、ハイブリッド環境ということになるが、どのように構築すればいいか悩んでいる企業が多い。また、基幹を含めてすべてのシステムをクラウド化したものの、逆にコストが高くなってしまって、一部をオンプレミスに戻したいという企業がいる」(同)ためだという。

 このようなSMBの状況を踏まえて、シンプルなサーバーを開発したというわけだ。中井本部長は、「そのためにも、インテルとのパートナーシップが欠かせなかった」と強調する。インテルでも、「ヒューレット・パッカードは、スキルセットが高い人材が多く、台湾ではお互いのデザインセンターが近いことからもユニークな製品を開発しやすい。SMB向けに最適なハイブリッド環境を推進している点においても、他社とは異なった協業関係が構築できる」(Intel Technology Asiaのアデシュ・グプタ リージョナルアカウントディレクター)としている。

 中井本部長は、「これまでは、国内SMB市場で当社のシェアが低かったのは否めない。ただ、HPE ProLiant TM200によって、シェアを高めることは間違いない。ビジネス規模に関しては、現状の2倍には膨れ上がるのではないか」と捉えている。SMB市場のニーズは多種多様で、価格競争力だけではシェアを獲得することが難しい。シンプルな構成で、クラウド連携を考慮した柔軟性が、どこまでSMB市場に響くのか。新設したコミュニティの動向にも要注目である。