ミラクル・リナックス吸収後の新会社が始動

 サイバートラスト(阿多親市社長)は10月1日、ミラクル・リナックスと合併し、新生サイバートラストとしてスタートした。トップに就任した阿多親市社長は、ソフトバンク・テクノロジーの代表取締役社長も引き続き担う。新会社で事業の柱となるのが、「セキュアIoTプラットフォーム」。IoT分野に注力するソフトバンクグループの一翼を担う会社としての舵取りが、阿多社長のミッションとなる。(畔上文昭)

 「IoT時代の安全をパートナー企業とともに世界に提供する」。新生サイバートラストの事業説明会において、阿多社長はそう切り出した。

 1995年設立のサイバートラストは、97年に国内初の電子認証センターを開局し、現在では国内最大級の電子認証インフラを保有している。一方、ミラクル・リナックスはLinuxディストリビュータとして2000年に設立。06年に組み込みLinuxの提供を開始している。

 サイバートラストは、15年に「セキュアIoTプラットフォーム」のコンセプトを掲げ、IoT向けの認証技術を提供。そこに組み込みLinuxの技術を融合するべく、16年からミラクル・リナックスと協業し、IoT関連ソリューションに取り組んできていた。両社の合併は、IoT事業のさらなる強化を目指してのものとなる。
 
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新生サイバートラストの
事業戦略を発表する
阿多親市社長

 IoT分野におけるセキュリティ対策の重要性について、阿多社長は「総務省の平成29年度版情報通信白書によると、世界のIoT機器は20年に300億台、21年に350億台になるとしている。これほど多くの機器がネットワークにつながるにもかかわらず、IoT機器のセキュリティは確立していない。しかも、PCやスマートフォンと違い、IoT機器の多くは平均8年という長い期間で使用されるため、現時点で安全だとしても、将来のセキュリティも考慮した対策が求められる」と説明する。

 サイバートラストが目指すのは、IoT機器のライフサイクルを通じた一気通貫のセキュリティを実現すること。これはセキュアIoTプラットフォームのコンセプトそのものである。

 例えば、IoT機器に電子証明書をインストール。その後の運用から廃棄まで、電子証明書でコントロールできるようにする。IoT機器は、8年以上の長期間で使用されることを考慮し、現時点ではみつかっていないぜい弱性に対応するために、ネットワーク経由でパッチを適用できるようにする。膨大な数のIoT機器を制御することになるが、「当社の認証局は、現在でも1日数千万件をさばいている実績がある」と阿多社長は自信をみせる。今後は認証局のインフラを増強していく考えだ。

 セキュアIoTプラットフォームを掲げるサイバートラストだが、半導体やIoT機器などの製造を手がけることはない。それらは、パートナー企業との協業により推進していく。サイバートラストの事業戦略発表会では、NECや日本マイクロソフト、ラックをはじめとする国内外のパートナー10社が登壇。サイバートラストとの協業における各社の取り組みについて説明した。

 阿多社長は、サイバートラストの株主の一社であるソフトバンク・テクノロジーのトップも引き続き担う。両社は、すでにセキュアIoTプラットフォームにおいて協力関係にある。また、ソフトバンクは英アームを買収するなど、グループ全体でIoT分野に注力している。今後は、アームとサイバートラストの協業によるIoTプロジェクトが動き出すことも予想される。