スロバキアに本社を置くセキュリティーベンダーのESET(リチャード・マルコCEO)とキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、足立正親社長)は9月13日、ESETの日本法人として合弁会社のイーセットジャパンを設立し、9月1日に業務を開始したと発表した。国内市場でのエンタープライズ向け製品の展開やブランド力の強化を推進し、市場におけるプレゼンス向上を狙う。

 1987年設立のESETは現在、世界20カ所以上に拠点を置いている。日本では2003年から、キヤノンITSが総販売代理店としてPC・サーバー向けセキュリティー製品を中心に販売を手掛けてきた。ESETのグローバルでの業績は、17年に過去最高となる5億4000万ドルの売り上げを記録。日本では15年から18年にかけて年平均成長率12%で推移しており、現在、「国内での市場シェアは4位」(足立社長)だという。

 日本法人の設立により、特にエンタープライズと個人向けの製品展開に力を入れる。イーセットジャパンのカントリーマネージャーに就任した黒田宏也氏は「エンタープライズの顧客セグメントは規模が大きく成長が著しい一方、顧客のニーズを製品に反映しなければ導入は難しい。ESETの知見を顧客に提供していく必要がある」と、日本法人設立の背景を説明。国内ビジネスの開始から15年が経ち、さらなる拡販に向けて、この時期での設立を「ベストなタイミング」だと強調した。

 また、キヤノンITSの足立社長は、サイバー攻撃の手口がますます巧妙化している中で「(PC・サーバー向けのウイルス対策という)部分的なアプローチでなく、包括的なセキュリティーソリューションの提供が重要」と指摘。ESETビジネスの成長に期待を込める。
 
9月13日にイーセットジャパンの設立発表会を開催。
(左から)イーセットジャパンの黒田宏也カントリーマネージャー、
ESETのアントン・ザヤッツ取締役役員、
ミロスラヴ・トゥルンカ取締会役員・共同設立者、
リチャード・マルコCEO、
キヤノンITSの足立正親社長、
近藤伸也・執行役員ITインフラセキュリティ事業部事業部長

 今後、エンタープライズ向けの新製品として、クラウド型サンドボックスやEDR製品、脅威インテリジェンスサービスなどを日本市場に投入する予定。また、「情報発信を強化し、これまで課題だったブランド力を高めていく」(黒田カントリーマネージャー)ことで、個人向け製品の拡販にも力を入れる。

 なお、イーセットジャパンの設立後もキヤノンITSは国内総販売代理店であることに変更はない。キヤノンITSでは今後、高度なセキュリティーエンジニアによる支援を行うプロフェショナルサービスの提供を強化する考えで、ESETの「市場シェア3位」を目指す方針だ。(前田幸慧)