キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、ユーザーから寄せられる声をもとに、最適な対応策を導き出す「VOC(顧客の声)分析ツール」の開発に力を入れている。特別な訓練を受けなくても的確な分析結果を得られることを目指す計画。白川理・R&D本部言語処理技術部部長は「コンタクトセンターやヘルプデスクの担当者や、商品・サービスの企画部門の担当者が、日常業務のなかで使えるようにする」ことを重視して、開発を進めている。

顧客対応の迅速化に役立てる


キヤノンITS
白川理
部長
 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が販売する複合機などのビジネス機器の関連業務で、VOC分析ツールの事業化の一環として運用をスタート。まずはキヤノンMJグループ内で実際に活用することで完成度を高めていく。

 例えば、Windows OSのアップデートやセキュリティソフトの更新などで、複合機のドライバーソフトに不具合が生じたとする。コンタクトセンターに寄せられる顧客の声(VOC)を分析し、「ドライバー」「OSアップデート」「セキュリティ」など頻繁に出てくる「特徴語」や「頻出語」を抽出。これらキーワードを視覚的、構造的に担当者に見せることで、「テキスト分析の専門知識が一切なくても、いまビジネスの現場で何が起きているのか直感的に理解できるようにする」(白川部長)。

 図は、実際にVOC分析ツールで可視化したもので、青い丸が頻繁に出てくるキーワードを意味し、その周囲にある黄色い丸は、青い丸に付帯するワード。青い丸は関連度が高いもの同士でグループ化している。具体的には「情報」というキーワードには「セキュリティ」が深く関連し、その「セキュリティ」に付帯するワードとして「アップデート」や「更新」などが出てくる。
 
「VOC分析ツール」による可視化イメージ

 こうしたテキスト分析に欠かせない自然言語処理は、キヤノンITSが長年にわたって研究開発してきた技術だ。同社のヒット商品である「GUARDIANWALL(ガーディアンウォール)」シリーズのメール誤送信や標的型メール攻撃の防止にも自社で開発した自然言語処理の技術を応用。今回の「VOC分析ツール」は検索エンジン部分にOSSの「Elasticsearch(エラスティックサーチ)」を活用しつつ、自然言語処理は独自の技術を実装している。

 今後はコールセンターやヘルプデスク向けなどのSI案件に適用していくことで、向こう3年間で累計30億円規模のビジネスに育てていきたいとしている。(安藤章司)