富士通は10月12日、今年5月に発表した「富士通アジャイルラボ」を東京・蒲田に開所した。同ラボは、米ピボタルが提供するアジャイル開発の手法を完全コピーの形で採用している。ラボ内のレイアウトもその一つ。ミーティングエリアやプロダクションエリア(開発エリア)、コミュニケーションエリアルームを用意し、息抜き用の卓球台を置くところまでピボタル流を再現している。

 提供するサービスもピボタル流。顧客との関係づくりを重視し、1日は朝食を共にするところからスタートし、17時30分の帰宅時間まで共同作業に費やす。単なるアジャイル開発のサービス提供ではないところに、富士通の本気度を感じることができる。
 
米ピボタルのビル・クック・プレジデント(右)と
富士通の中村記章・エグゼクティブアーキテクト

 アジャイル開発は、必要性が指摘されても、国内ではなかなか浸透してこなかった。採用するにしてもウェブ系などの比較的安価な開発案件が多く、大手のSIerなどでは扱いにくい開発手法との印象が強かった。ユーザー企業にとっても、必要な予算を把握しづらいなどのマイナス面から、積極的には採用しにくいというムードがある。
 
ピボタル流を採用した「富士通アジャイルラボ」。
卓球台を息抜きで使用するのもピボタル流

富士通
木脇秀己
常務
 こうした背景がある中で、富士通が重い腰を上げたのには理由がある。キーワードは、デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。多くの企業はデジタル化の波にさらされ、ビジネスを展開するに当たり、スピードを意識した対応を迫られている。開所の挨拶で登壇した富士通の木脇秀己・執行役員常務は「開発一筋だった私には、(アジャイル開発は)考えられない世界。まだまだこれからだが、DXの加速を通じて、富士通として邁進していきたい」と語った。

 ピボタルは、ユーザー企業がアジャイル開発を経験し、自社に持ち帰って開発サイクルを回し始めるところまでをサービスとして提供する。これに対し、富士通は「これまでのシステム開発の経験を生かし、現場でのゴールに至るまでサポートする」(中村記章・エグゼクティブアーキテクト)ことで、ピボタルとの差異化を図る。

 開所式には、米ピボタルのビル・クック・プレジデントが参加。富士通アジャイルラボの取り組みが「ベストプラクティスになる」と期待を込めた。

 なお、富士通アジャイルラボは、富士通グループの若手を中心に40人の体制でスタート。二つのプロジェクトに対応できる規模だという。同社にとっては組織も収益も小さいが、市場ニーズに応じて拡大していくことを想定している。(畔上文昭)