ソフトバンクの子会社4社は2019年1月1日付で商号を変更する。法人向けIT市場の大手ディストリビューターとしての事業が中心のソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S、溝口泰雄社長兼CEO)もその1社で、社名が「SB C&S」に変わる。より自律的な経営にシフトし、IT市場での独自のブランド構築やプレゼンスの向上を強く推し進めたい意向だ。

ソフトバンクC&S
溝口泰雄
社長兼CEO

 ソフトバンクグループは、グループ内でブランドを統一せず、資本関係も弱めた“緩い”つながりでさまざまな産業分野のトップ企業を集め、それぞれが連携することで長期的に安定した成長を目指す「群戦略」を基本方針としている。ソフトバンクは12月19日に東京証券取引所第1部に上場したが、群戦略に基づき、持ち株会社であるソフトバンクグループとは異なる国内通信事業会社としてのドメインを明確にする意図がある。また直近では、「AI群戦略」という方針を打ち出し、「AIが全ての産業を再定義し、人類史上最大の革命となる」(孫正義・ソフトバンクグループ会長兼社長)という理念の下、AIで横串を刺したかたちで同社グループの群戦略の輪を広げている。投資ファンドのソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)はまさにその中心的な役割を担っている。

 子会社4社の商号変更もこの群戦略の一環であり、各社はそれぞれの事業領域でナンバーワン企業を目指す方針だ。注目したいのは、4社とも社名から「ソフトバンク」の冠が消えることだ。ソフトバンクC&Sの溝口社長は、「ソフトバンクという名前が付くと、やはり国内通信キャリアとしてのソフトバンクのイメージが強く、ややもすると通信サービスを扱っているのかと思われがち。そうしたイメージから脱却し、群戦略の中で国内IT市場のナンバーワン企業という役割を担うためにも、社名から『ソフトバンク』を排してSB C&Sにした。国内IT市場で確固たる地位を占めるITベンダーとして独自のブランドを確立したい」と新社名の狙いを説明する。

 溝口社長がSB C&Sのブランド確立のモデルケースとしてイメージしているのは、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)やSCSK(2011年に住商情報システムとCSKが合併して発足)などだという。「両社とも、大手企業の情報システム子会社に源流を持つが、彼らはもはやIT市場において伊藤忠商事や住友商事の冠の下で語られることはない」(溝口社長)からだ。

 近年、ソフトバンクC&Sは、ディストリビューターとしての付加価値向上に加え、メーカー機能の強化にも取り組んでいる。溝口社長は、「SVFのAI領域への投資の成果も活用しながら、独自のAIプロダクトを活用したり、AIと親和性の高いIoTでも新しいプロダクトラインを整備して大きな成長を図りたい」とSB C&Sの事業展望を語る。「売り上げ規模や営業利益など、さまざまな指標でIT業界のナンバーワンと言えるポジションを目指す」意気込みだ。(本多和幸)