「2019年は、仕切り直しとなる1年にしたい。仮想通貨がマネーゲームではなく、実用に根差してしっかりした市場に育っていくことを願っている」

連携の協定書に署名したJCBAの奥山泰全会長(左)とBCCCの平野洋一郎代表理事

 昨年末、仮想通貨交換業者や金融機関で構成される日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)の奥山泰全会長(マネーパートナーズ社長)はこのように述べ、今年は健全な方向性をもって、仮想通貨のビジネスを再び成長軌道に乗せる意欲を示した。

 昨年は1月にコインチェック、9月にテックビューロと、大手仮想通貨交換業者からの大量流出事故が相次ぎ、ビットコイン相場もピーク時から5分の1以下へ下落した。仮想通貨の採掘事業から撤退を表明する企業が国内外で相次ぎ、一昨年のブームから一転して、18年の仮想通貨市場は下火となった。

 一方、これらの問題を受け、金融庁が認定する自主規制団体(日本仮想通貨交換業協会)が発足し、法制面での議論も進展した。奥山会長は「18年は大変な1年だったが、数年経ってから同様の事件が起きた場合の社会的影響や対応コストを考えると、再スタートを前倒しできたと思う」と話し、市場がまだ黎明期の段階で投資家保護の取り組みを加速できたことを、前向きにとらえているとした。

 「仕切り直し」に向けた体制づくりの一つとして、JCBAとブロックチェーン技術を扱う企業で構成されるブロックチェーン推進協会(BCCC)の2団体は、昨年12月27日に相互連携に関する協定を結び、仮想通貨およびブロックチェーン技術の普及推進に共同で取り組んでいくことを発表した。

 JCBAは金融、BCCCは技術と、両団体の対象領域は異なっていたが、仮想通貨とブロックチェーン技術は不可分であり、金融の世界で求められる諸制度と具体的なセキュリティー実装のすり合わせなど、実ビジネスの展開においては互いの知見を共有すべき場面は多い。また、一部の作業部会や業界内外に向けた広報活動などで、両団体が実質的に同じ内容の活動を重複して実施したケースもあるといい、今後は相互の交流・連携によって活動の効率化や規模の拡大を図っていく。

 BCCCの平野洋一郎代表理事(アステリア社長)は「18年のブロックチェーン市場は、17年に比べると相対的に沈んでいるようにみえるが、その2年前に比べると技術はずっと進んでいる」と述べ、18年の単年を指して「ブロックチェーン技術への関心が低下した」とする意見もあるが、それは誤りだと指摘する。

 そして、拙速な事業計画で参入する企業や、投機への関心を煽るようなサービスの勢いが縮退したことで、むしろ一般の企業や消費者がブロックチェーン技術を活用しやすい環境が整いつつあるとの見方を示した。(日高 彰)