業務ソフト大手のピー・シー・エー(PCA、佐藤文昭社長)は2月21日、ユーザー企業向けイベント「PCAユーザーミートアップ」を開催した。同社にとっては初の試みで、ユーザー会の設立も視野に入れる。ユーザー企業との接点や関係を強化して製品・サービス開発に生かすとともに、ユーザー同士の交流や課題解決に向けた情報共有などを促進し、“PCAファン”を拡大することで市場のゲームチェンジを狙う。

ユーザー同士の交流や情報共有を行ったユーザーミートアップ

 中堅・中小企業向けの基幹業務ソフト市場では、PCAのような国産の老舗パッケージソフトベンダーが長年大きな存在感を示してきたが、完全間接販売のビジネスモデルということもあり、従来の拡販施策としては販売パートナーとの関係強化にプライオリティーが置かれていた。一方で、近年ではソフトメーカーと既存パートナーの課題意識に乖離(かいり)が生じている状況も浮き彫りになっている。

 業務ソフトの領域もクラウド化が進み、PCAはそのパイオニアとしてSaaS商材「PCAクラウド」の拡販を進めてきた。2016年には「Web-API」をローンチし、サイボウズの「kintone」とPCAクラウドの連携を端緒として、60以上のクラウドサービスとPCAクラウドの連携ソリューションを整備している。同社は、将来的にクラウド、オンプレミスを問わずソフトウェアの提供形態をサブスクリプション型にシフトする意向も示しており、「機能と付帯サービスを売り切り型で提供するやり方から脱却し、課題解決のためのテクノロジーやサービスに継続課金してくれるお客様と長期にわたる関係を重視したお付き合いをしていくビジネスモデルに変える。お客様にとってもメリットが大きいし、パートナーにとっても当社にとっても安定した成長が見込める」(佐藤社長)としている。

 しかし、たとえ将来的に安定した成長が見通せるとしても、売り切り型のフロービジネスからストックビジネスに変わることで一時的にでも売り上げが落ちることを販売パートナー側はなかなか許容できない。クラウド商材を事業の柱に据えるPCAにとっては、ビジネスモデル変革の必要性やメリットについて、既存パートナーといかにコンセンサスを形成するかが課題になっていた。

 今回のユーザーミートアップは、そうした課題を残すパートナー戦略とは別の方向での新たなマーケティング施策と言える。ユーザーとの直接のつながりを強化することにより、PCA製品の価値を理解するとともに、その導入メリットを積極的に発信してくれるコアなPCAファンを増やしていく。これが機能すれば、PCAにとっては製品・サービス開発にフィードバックできる生の声を拾うことができる場になるのはもちろん、ユーザーにとっては、他のユーザーと交流することでPCA製品・サービスの新たな価値の気づきの場になる可能性もある。中堅・中小企業のバックオフィス業務に従事する人材の間で、PCAのユーザーコミュニティーには新しいテクノロジーやアイデアを積極的に取り入れて業務課題を解決していく人が集まっているというイメージをつくることができれば、PCAのブランディングにとっても大きな追い風になる。パートナーのビジネス変革も含め、PCA製品のビジネスエコシステム全体を刺激する効果も期待できそうだ。

 初回のユーザーミートアップは、こうした同社の意図を反映したプログラムになった。PCAクラウドの主要ソリューションパートナーであるサイボウズの青野誠・人事部長兼チームワーク総研研究員が、働き方改革を実現する組織づくりをテーマに講演したほか、PCA自身の社内業務効率化の取り組みの紹介やPCAユーザーによるパネルディスカッションも行った。(本多和幸)