その他

具体化した5G時代のマネタイズ 通信料に代わるデータ循環型の新ビジネスを構築――KDDI

2019/07/12 08:00

週刊BCN 2019年07月08日vol.1783掲載

 KDDIは6月27日、プライベートイベントである「5G SUMMIT 2019」を開催した。基調講演で高橋誠社長が登壇し、今後の5G展開の戦略や新たな提携を発表した。

 今年4月に総務省が発表した5G周波数の割り当てで、3.7GHz帯を2枠、28GHz帯を1枠獲得した同社は、5G時代のマネタイズ戦略としてリカーリングビジネスの構築を追求する。通信料ではなく、IoTデバイスから得られるデータを基に新しい事業を創造するためのサービスプラットフォーマーを目指す。高橋社長は、「まさにBtoB市場が主戦場になる」と強調した。
 
高橋誠
社長

 周波数帯3枠と2枠の奪い合いとなった割り当てでは「アグレッシブな提案をしたことで非常に素晴らしい周波数帯を割り当ててもらえた」と高橋社長は語る。2020年の3月までに4万局を超える5G基地局を展開し全国の93.2%をカバーする計画を提出している。今年9月のラグビーワールドカップ日本大会でトライアルを実施し、20年3月から商用サービス開始の予定だ。

 現在、KDDIでは企業のグローバルサービスを支援する「IoT世界基盤」や、ユーザーやパートナーとの協創の開発拠点「DIGITAL GATE」によって、通信サービスを核とした新たなサービスモデルを模索している。高橋社長は、「5G時代はユーザーの状態がデータとして循環し、エンゲージメントを深化させるリカーリング型のビジネスモデルが加速していく」と語る。
 
航空機整備工場での活用を目的とした整備作業支援システムの展示。
高精細な映像で遠隔からでも点検が可能に

 リカーリングビジネスの実現のため、今回発表されたのがエヌビディア、日本航空(JAL)との協業だ。エヌビディアのGPUをDIGITAL GATEに導入し、AIを絡めた開発を促進する。また、JALが保有する開発拠点「JAL innovation Lab」とDIGITAL GATEが共同で航空関連サービスを開発することに合意したという。さらに、すでに5Gが商用化している韓国の通信事業者LG plusとも事業提携を発表。日韓共同でドローン基盤の開発を進め、インターフェースの共通化、アプリケーションの相互利用などを図る。(銭 君毅)
  • 1

関連記事

週刊BCNが大阪市でSIer・リセラーのためのITトレンドセミナー、注目のIT商材に地元SIerなどが熱視線

KDDI、アイレットが米ラックスペースと協業 エンタープライズIT市場の主役の座を狙う

「IoT世界基盤」に新たな選択肢 東芝のSPINEXと連携し企業のグローバル事業を支援――KDDI

外部リンク

KDDI=https://www.kddi.com/