アイティフォー(佐藤恒徳社長)は、キャッシュレス決済の普及の追い風に乗って、地方銀行や地域の商店街を中心にキャッシュレス決済サービス「iRITSpay(アイ・リッツペイ)」の受注数を急速に伸ばしている。2019年3月時点でiRITSpay決済端末の累計受注数はおよそ9700台だったのに対して、今年度上期末(19年9月)までのわずか半年で、2.5倍近い2万4000台以上まで増やした。シェア拡大の原動力になったのは地場の金融機関などとの連携によるところが大きい。

佐藤恒徳 社長

 債権管理システムや個人ローン業務の支援システムなど、アイティフォーは金融機関向けの有力商材を多数開発してきた。また、小売業向け基幹システム「RITS(リッツ)」は地方百貨店や専門店を中心にシェアを伸ばしている。キャッシレス決済サービスのiRITSpayは、金融機関や小売業向けのシステム開発のノウハウを生かして開発。販路についても地方銀行や信用組合と協業し、地場の金融機関の取引先である商店街や小売業と歩調を合わせて販売していくモデルを構築した。

 金融機関はキャッシュレス決済を通じて得たデータを分析し、取引先企業のよりよい商材づくりや店舗づくりを支援。地場の商店街や小売業の売り上げが増えれば、金融機関の融資先も増える好循環が生まれる。折しも訪日外国人の増大で賑わう南西諸島では、沖縄県の琉球銀行がiRITSpayを採用したのに続き、奄美大島の奄美信用組合が琉球銀行の代理として、カード加盟店の新規開拓や代払いなどを取り扱いを始めると19年11月に発表。そのキャッシュレス決済システムにiRITSpayを採用している。ほかには飛騨信用組合も地場の商圏におけるキャッシュレス決済でiRITSpayを活用する。

 南西諸島のように商圏が隣接している地域では、キャッシュレス決済時に発生するポイント還元などの仕組みを広域で連携。「キャッシュレス商圏を形成することで集客増につながるマーケティングツールとしての活用」(佐藤社長)も期待されている。また、クレジットカード会社も新規事業としてキャッシュレス決済サービスに参入する動きが活発化しており、大手信販系カード会社からのiRITSpayの受注も獲得している。

 類似のキャッシュレス決済サービスは、TISの「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」やGMOペイメントゲートウェイの各種決済サービス、NTTデータの「CAFIS(キャフィス)」など。このうち一部競合する部分もあるが、相互連携するケースもあるという。

 アイティフォーでは、決済件数による従量課金ではなく、例えば「決済端末○○台までは月額いくら」と固定料金を設定しており、「台数で上限が決まっているのでキャッシュレス対応の予算が組みやすいよう配慮」(佐藤社長)している。さらに金融機関やカード会社と連携し、商圏全体の活性化の支援に力を入れることで受注を伸ばしていきたい考えだ。(安藤章司)