レッドハットは6月25日にオンラインで記者会見を開催し、望月弘一社長が直近の業績と今年後半に向けての事業戦略を説明した。望月社長は、コンテナ基盤製品「OpenShift」の採用が国内で100社を超えたことを明らかにし、今年は昨年比で倍の企業にコンテナ環境を導入することを目指すと述べた。

望月弘一 社長

 OpenShiftは、コンテナ基盤のデファクトスタンダードとされるオープンソース技術・Kubernetes(クーバネティス)をベースとした商用製品。ユーザー企業が自社の環境に導入することでコンテナアプリケーションの実行環境を構築できるほか、主要なパブリッククラウド事業者によるマネージドサービスとしても提供されている。望月社長は、「クラウド間の互換性はまだまだ乏しい。これを放置すると効率の悪いクラウド投資になるか、特定ベンダーへのロックインになる」と指摘し、OpenShiftを利用することで、オンプレミスとクラウドにまたがるオープンで包括的なITインフラを構築できるメリットをアピールした。

 当初コンテナ技術はWebサービス開発者の間で支持を集めた。しかし望月社長によれば、同社の国内でのコンテナ導入案件では、Java実行環境など、同社が提供するミドルウェアと組み合わせた提案が半数を超えているといい、今や外部向けサービス提供のみならず、業務アプリケーションの開発・運用にもコンテナ技術が浸透してきているとの見方を示した。

 日本では、多くの企業がITインフラや業務アプリケーションの構築・運用を外部のSIerに委託していることから、OpenShiftの販売においてもパートナー経由の展開を重視。国内ではパブリッククラウド事業者だけでなく、レッドハットパートナーの大手SIerも自社の基盤を活用したOpenShiftのマネージドサービスを開始しており、この形態で提供を伸ばしていくことが、日本市場でのコンテナビジネス成功のカギを握ると望月社長はみる。

 「2025年の崖」が近づくことでクラウド移行の需要がさらに高まることが予想されることから、アプリケーションのコンテナ化を支援するため、今年はISVとのパートナーシップも強化したい考え。コンテナ用OSイメージ「Universal Base Image」の無償配布といった取り組みを通じて、OpenShift上で確実に利用できるアプリケーションを増やしていく。

 昨年7月に完了したIBMによる買収手続きに関しては「IBMがオープンソースをより理解し、そのテクノロジーより積極的に提案するようになってきている」とコメント。大手企業との関係が深く、各業界特有の業務に明るいIBMがレッドハット製品を販売することで、レッドハットのビジネスを加速する効果が出始めていると説明した。

 同時に、IBMを含めた全てのパートナーと「等距離で付き合う方針に変わりはない」「IBMがオープンソースの価値を理解し始めていることから、今後もレッドハットの文化は保たれると確信している」とも述べ、資本関係ではIBM傘下にありながらも、独立した組織・方針でビジネスを継続していることを強調した。(日高 彰)