西武ライオンズは、9月22日から24日にかけて行われた本拠地メットライフドームでのプロ野球日本ハムファイターズ3連戦を「Cisco Super Series」として開催した。シスコシステムズの協力により、同社のデジタルサイネージやネットワーク技術を活用して球場内外で連動した演出を試験的に実施。その成果を基に、デジタル技術を活用した新たなファン体験の創出やビジネスモデルの検討を行っていく。

チケットやグッズの売り場、フードショップなど各所にサイネージを設置。
試合映像も放映し、リアルタイムに試合状況を把握できる

 西武ライオンズは2017年12月から、約180億円を投じてメットライフドームの改修工事を進めている。その一環として球場内のネットワークやデジタルインフラの整備を推進。改修工事が完了する21年3月までに、高速通信ネットワークの整備を進めるとともに、合計約290台のデジタルサイネージ「Cisco Vision」を設置することを予定している。これらを活用して新たな価値を提供することで、ファンエンゲージメントの強化を図る。

 今回の日ハムとの3連戦では、来シーズンからの本格運用を前に、球場内外各所に配備したサイネージを高速ネットワークでつないで連動させる取り組みの試験運用を実施。選手がホームランやヒットを打った際には、球場内に現在設置している約70台のサイネージや、西武池袋線・池袋駅にある大型サイネージ「池袋駅マルチビジョン」に動画やメッセージを流す演出を試みた。

 また、球場内にデジタルホワイトボード「Cisco Webex Board」を設置。ファンがホワイトボードに選手へのメッセージを書くと、選手ロッカー付近に設置されたホワイトボードにリアルタイムでメッセージを届けることができる環境をつくった。さらに、同じホワイトボード上でウェブ会議システム「Webex」を使い、サプライズで登場した選手と実際に会話できる取り組みも、今シーズン初のファン交流イベントとして実施した。

 西武ライオンズとシスコシステムズは9月18日、今回の取り組みについての説明会を共同で開催。西武ライオンズの村松宏・営業部部長は、今後約290台のサイネージが配備予定であることを視野に、「例えばサイネージに広告を表示させることによって、おのずと広告価値も高まっていくと期待している」と、サイネージを利用した新たなビジネスモデルの可能性にも言及した。

 シスコシステムズの生田大朗・マーケティング本部東京2020オリンピック・パラリンピック部長は、過去に手掛けてきた球場のデジタル化の取り組みの中でも、「これだけ大規模に展開する例は今のところほかにない」と説明。国内でのスタジアムのデジタル化などの取り組みは「まだ始まったばかり。可能性は非常に大きいのではないか」と語った。(前田幸慧)