キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、手書き文字認識が可能なAI OCR最新版「CaptureBrain Ver.2.0」の販売を10月下旬から始める。新バージョンでは、複数のAI OCRエンジンを搭載するとともに、ユーザー企業の属する業界・業務で使う専門用語を収録した辞書機能を実装することで手書き文字の認識精度を向上させているのが特徴だ。低コストで使えるSaaS版も新しく提供し、中小企業がファックスでやりとりしている受発注伝票の電子化にも気軽に使えるようにした。

左からキヤノンITSの武知憲彦課長、
キヤノンMJの三宅貴美子チーフ、岡本眞太郎課長代理

 深層学習の技術が向上し、これまで難しかった手書き文字の認識精度が飛躍的に高まったことを受けて、CaptureBrainは2019年5月に製品化された。両社は大量の手書き申請書類を扱う金融業やデータ入力業務を請け負う大規模アウトソーシングセンター向けに、個別SIの方式で販売してきた。だが、コロナ禍の影響で業務の完全デジタル化、リモートワークの需要が高まっていることを受けて、機能向上に合わせて中堅・中小企業でも手軽に使える提供形態も用意した形だ。

 認識精度の向上では、汎用性の高いCogent Labs(コージェントラボ)のAI OCRエンジン「Tegaki」と、キヤノンMJグループが独自に開発した特化型AI OCRエンジンを最大6種類組み合わせる方式を新しく採用。帳票の金額や活字、チェックボックス、氏名、住所などの欄をあらかじめ指定しておくことで、それぞれの項目に最適なエンジンを使って読み取る。さらに、業種・業務ごとの専門用語を収録した辞書を通すことで文字校正を行い、「精度を一段と高められるようになった」と、キヤノンITSの武知憲彦・商品企画課課長は話す。

 通常はAI OCRで変換したデータと、人間が読み取って入力したデータを比較校正し、100%の精度にもっていく。キヤノンMJの三宅貴美子・デジタルビジネス推進本部ビジネスデベロップメントグループチーフは「例えば、90%の精度の場合は100項目のうち10項目の校正作業が発生するが、98%に高められれば2項目の手直しで済む」と強調する。手書き文字認識の精度が高まっても100%には至らないが、精度の向上により工数削減にはつながる。

 新たに提供するSaaS版は、初期費用20万円、月額3万円で3万項目を入力できる。3万円の追加パックを購入することで、さらに3万項目分の入力が可能になる。月額10万円、15万円のコースも用意した。月によって入力数にバラツキがある場合でも「基礎となる月額プランと追加パックの組み合わせで無駄なく入力できる」(キヤノンMJの岡本眞太郎・ビジネスデベロップメントグループ課長代理)ようにした。両社はCaptureBrain関連事業で2022年に年間20億円の売り上げを目指す。(安藤章司)