米IBMは10月8日、顧客のデジタル変革を加速するため、グローバル・テクノロジー・サービス事業のマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門を分社化し、ITインフラの運用管理で業界最大手となる新会社を設立する計画を発表した。IBMのジム・ホワイトハースト社長は同22日の説明会で「設立初日から市場のリーダーになる」と意気込みを語った。

ジム・ホワイトハースト 社長

 ホワイトハースト社長は、新会社の役割は「(顧客の)データセンター(DC)の運用管理で、DCの複雑性をできるだけシンプルにすることを目指してもらう」とし、一方で今後のIBMの役割については「ハイブリッドクラウドプラットフォームの構築を担当する。今まではDCの運用管理もしていたが、事業を分けることで、プロダクトや将来のイノベーションにフォーカスしていくことができる」とした。

 分社化の狙いについては「市場では、私たちのノウハウに対するニーズが高まっていることを見出した。クライアントからはインフラを選ばないアプリケーションや、オンプレミスのインフラのモダナイゼーションに対するニーズも高まっていることに気づき、分社化を判断した」と説明した。

 新会社については、2021年に設立予定との見通しを示し「設立初日から市場のリーダーになり、第2位の競合他社と比べて約2倍の190億ドル(約2兆円)近くの年商が約束されている」と紹介。「IBMのビジネスに紐づけられることはないので、どのようなクラウドベンダーともパートナーシップを結ぶことができ、それが新たな成長源になる。強力な戦略的パートナーシップをIBMと維持することで、既存顧客へのサービスも提供できる。私たちの将来にとって重要な転換点になる」との見解も示した。

 説明会は、報道関係者とITアナリスト向けに日本IBMが開催した。同社の山口明夫社長は「基盤と業務を一緒にして提供するのが従来のわれわれのシステムインテグレーターとしての役目で、その方向をさらに進めていくという議論もあった」とした一方、テクノロジーの進化やコロナ禍でのデジタル変革の加速によって「クラウドやハードウェア、ネットワーク、IoTデバイスがプラットフォームとして社会に広がり、顧客から全体のマネージに関する要望が非常に増えてきた。水平方向でプラットフォームをしっかり管理し、企業や社会に対してより安定した基盤を提供することが重要になっている」と説明した。
 
山口明夫 社長

 その上で、IBMの「OpenShiftをベースにした業務のプラットフォーム」と、新会社の「他社のサービスや製品も含めたインフラのプラットフォーム」を全体として提供できることは、今の顧客や社会の要望に応えられるモデルだとし、分社化の意義を強調。「テクノロジーが加速する中で必要となる真のオープンなシステムインテグレーターになっていくために、それぞれが独立し、必要なところは強固なパートナーシップを結び、今まで以上の価値を提供する方向に舵を切った」と語った。

 日本IBMのインフラ運用管理事業も新会社に移管し、日本IBMの連結対象から外れる。日本IBMの売り上げへの影響について、山口社長は「コーポレーション(米IBM)が出している『IBMが6兆円、新会社が2兆円』という割合の規模からはそれほど変わらない」と述べ、日本でも売り上げの約4分の1が新会社に移るとの見通しを示した。(齋藤秀平)