カナダのサプライチェーン計画業務ソフト開発会社のキナクシスは、今年度第3四半期(7-9月期)をめどにサプライチェーンのリアルタイム制御機能を強化する。外部の気象予報や交通情報をサプライチェーンの計画業務に反映し、「リアルタイムで管制する“次世代SCM管制塔”を実装する」(キナクシス日本法人の金子敏也社長)予定だ。これまでは生産状況や在庫数、受注数をベースにサプライチェーン計画を立てていたが、事故や災害といった突発的な変動要素を瞬時に計画業務に取り入れることで、リスクを回避したり、売り上げや利益の最大化がより図りやすくなる。

 サプライチェーンを巡っては、営業見通しと運用計画を同時に分析し、最も儲かる場所や顧客に商品を分配する「セールス&オペレーションプランニング(S&OP)」が近年の主流になっている。キナクシスが開発を進めている次世代SCM管制塔では、気象や陸運/海運などの外部条件をリアルタイムで取り込み、これに従来の在庫や費用、時間といった情報を加味してS&OPの最適化をコントロールする(図参照)。
 

 北米では気象などの外部サービスとキナクシスの主力商品であるサプライチェーン計画ソフトを組み合わせて使っているケースがあり、今回の機能強化は「キナクシス自身のサービスに取り入れて提供する」(金子社長)ものだ。
 
金子敏也 社長

 キナクシスは、ERPなどから取得したデータを超高速で分析し、最適なサプライチェーン計画を導き出すリアルタイム性を最大の強みとしており、時々刻々と変化する気象や交通の情報を瞬時にサプライチェーン計画に反映して、複数の計画シナリオをユーザー担当者に提示。ユーザーは経営戦略にもとづいて最適な計画を選ぶことができる。

 2020年を振り返るとコロナ禍で工場の稼働率が低下したり、想定外の巣ごもり需要が突発的に発生するなどしたことでサプライチェーンの混乱が見られ、ユーザー企業は刻一刻と変化する状況のなかで、サプライチェーン計画を随時見直す必要性に迫られた。

 こうした動きを察知するかたちで、昨年、国内ビジネスパートナーは野村総合研究所やキューブシステム、PCIソリューションズなどが新たに加わり、既存のJFEシステムズやエクサと合わせて国内有力販売パートナーは10社ほどに拡充。キナクシスの全世界の昨年度(20年12月期)の売上高も前年度比17%増の2億2400万ドル(約246億円)に増えている。(安藤章司)