レノボ・ジャパンは7月6日、エッジコンピューティング用デバイスブランド「ThinkEdge」を立ち上げ、新製品「ThinkEdge SE30」「ThinkEdge SE50」を発売した。企業のIoTへの取り組みが加速する中でエッジデバイスへの需要が高まっていることを受け、高性能端末として市場に訴求する。
ThinkEdge SE30
同日開催された記者発表会で同社の安田稔・執行役員副社長が新ブランド設立の背景を説明した。IoTデバイスが収集する膨大なデータの処理やAIによる推論処理といった場面で、エッジコンピューティングが利用されるケースが増えていることを挙げ「今後はあらゆる産業でエッジITが重要となる。高い成長が見込める分野のため、新ブランドを設立することで取り組みを加速させる」と話した。
安田 稔 副社長
同社は2019年にエッジデバイス「ThinkCentre M90n-1 Nano IoT」を発売したのを皮切りにエッジコンピューター市場に参入。「現在は、コストパフォーマンスや高い処理能力を求める企業が増えている。また、グローバルで調達できるデバイスも少ない。新製品によりこれらの要望に対応していく」(安田執行役員副社長)という。
今回、発売したThinkEdge SE30とThinkEdge SE50について、同社コマーシャル事業部企画本部製品企画部の賈新・プロダクトマネージャーは「両製品とも高い堅牢性とコンパクトな設計により場所を問わず設置できる。OSは『Windows 10 IoT Enterprise LTSC』または『Ubuntu』に対応できることも特徴だ」とした。
ThinkEdge SE30はコンパクトなエッジIoT専用端末でCPUにIoTや組み込み機器向けの第11世代インテル「Core i5-1145GRE/Core i3-1115GRE」を搭載。マイナス20度~60度の温度に対応できることから、冷凍倉庫や工場など厳しい環境での利用を想定している。
ThinkEdge SE50はインテル第8世代「Core i7-8665UE/Core i5-8365UE」をCPUに採用。グラフィックスにインテル第3世代「Movidius VPU」も搭載できるため、画像分析やディープラーニングなどに適しているとし、高度な分析やデータ処理を求める企業への提案を進める。
記者会見ではThinkEdgeシリーズの拡販に向けてパートナーとの連携を進めていることも紹介した。ThinkEdgeシリーズはマイクロソフトの「Azure Certified Device Program」の認定デバイスとして登録されているほか、アステリアのAI/IoT統合プラットフォーム「Gravio」とThinkEdgeシリーズを連携させ「最新のエッジ技術が容易に活用できる」環境の整備も進んでいるという。また、岡谷エレクトロニクスはThinkEdgeシリーズとAzure、Gravioにインテグレーションサービスをパッケージ化した「IoTスターターキット」を近くリリースすることを明らかにした。
安田執行役員副社長は「IoT領域では顧客から多種多様なニーズが生まれる。そのニーズに応えるためにはパートナーとの協業が不可欠になるため、パートナービジネスモデルの確立にも注力する」と述べた。(岩田晃久)