SAPがクラウドビジネス拡大のための重点施策と位置付けるのが、今年初頭に発表した新たなサービスパッケージ「RISE with SAP」だ。RISE with SAPとはいったい何なのか。同社はこれを“Business Transformation as a Service”と表現している。顧客企業のビジネス変革を実現し、クラウドへの移行を加速するサービスだという。ミュラーCTOは「SAPはビジネス変革に対してもっとはっきりとした役割を果たしてほしいとの声が顧客からあり、それに応えたものだ」と説明する。
RISE with SAPでは、SAPが顧客にソフトウェアや関連サービスを提供するだけでなく、ビジネスプロセス全体を最適化し自動化する具体的な施策まで踏み込んで提案する。理想的なビジネスプロセスと現実のギャップを可視化し、ワークフローの改善、システムのインテグレーションや機能拡張により、顧客のビジネス変革を実現するのだ。
RISE with SAPの中核を成すのは、ERP製品の「SAP S/4HANA」と、ビジネスアプリケーションのインテグレーションやAIなどを活用した機能拡張をローコード/ノーコードで実現する基盤「SAP Business Technology Platform」(BTP)だ。この二つを使い、既に世界中の企業がビジネス変革で大きなメリットを得ているという。SAP自身も、ERPの機能やアプリケーションとしての完成度を高めるためにBTPを活用している。
国内でもビジネス課題の解決事例が増加
日本市場でもRISE with SAPのカスタマーは拡大している。日本貨物航空がS/4HANAのSaaS版「S/4HANA Cloud」を採用してコアビジネスのシステムを再構築し、来年、本番運用を開始する。デサントもS/4HANAの業種別ソリューションを導入してプロセスを改善し、コスト効率を上げている。
また、RISE with SAPのカスタマーではないものの、コアコンポーネントであるS/4HANAのユーザーであるトラスコ中山は、20年4月からBTPも活用している。S/4HANAとBTPを組み合わせ、課題となっていた注文対応のスピードを向上させることに成功。かつては数日かかっていた顧客への見積もり提示が数秒で完了できるようになった。これにより、注文獲得率を20%から27%に向上させている。ビジネス変革のためには「基幹系システムのクラウド化が重要なのではなく、ビジネス上のどのような課題を解決したいかが肝だ」とミュラーCTOは指摘する。
RISE with SAPを使い顧客のビジネス変革をサポートするには、パートナーの力も必要だ。パートナーには従来のSAP ERPの導入支援だけでなく「より戦略的になってもらう必要がある」とミュラーCTOは訴える。ERPであるS/4HANAをカスタマイズするのではなく、BTPを使って拡張するというメソッドへの理解も必要だ。顧客からの継続的な要望に応え、顧客にとっての真のパートナーになることを前提に、SAPの新たなサービスや戦略をキャッチアップしてほしいという意図が滲む。
日本企業は海外企業に比べて内製率が低く、これがDXの遅れにつながっているという指摘もあるが、「RISE with SAPで顧客のビジネス変革を支援する体制は既にある」とSAPジャパン ソリューション事業推進部シニアビジネスデベロップメントの高橋正樹氏は強調する。顧客のビジネス変革を的確に支援するためのパートナーエコシステムの構築も順調に進みつつあるという見方を示す。また、BTPをクイックに試すための無償ライセンスや支援サービスもそろえている。
ミュラーCTOも、日本市場について「欧米よりDXに出遅れている感はあるが、日本企業には素晴らしいエンジニアリング文化があり、コロナ禍の変化を受けDXに積極的に取り組む企業も出てきている」と評価。その上で、「RISE with SAPを使えば、DXの出遅れは100%キャッチアップできる」とアピールした。
SAPがクラウドビジネス拡大のための重点施策と位置付けるのが、今年初頭に発表した新たなサービスパッケージ「RISE with SAP」だ。RISE with SAPとはいったい何なのか。同社はこれを“Business Transformation as a Service”と表現している。顧客企業のビジネス変革を実現し、クラウドへの移行を加速するサービスだという。ミュラーCTOは「SAPはビジネス変革に対してもっとはっきりとした役割を果たしてほしいとの声が顧客からあり、それに応えたものだ」と説明する。
RISE with SAPでは、SAPが顧客にソフトウェアや関連サービスを提供するだけでなく、ビジネスプロセス全体を最適化し自動化する具体的な施策まで踏み込んで提案する。理想的なビジネスプロセスと現実のギャップを可視化し、ワークフローの改善、システムのインテグレーションや機能拡張により、顧客のビジネス変革を実現するのだ。
RISE with SAPの中核を成すのは、ERP製品の「SAP S/4HANA」と、ビジネスアプリケーションのインテグレーションやAIなどを活用した機能拡張をローコード/ノーコードで実現する基盤「SAP Business Technology Platform」(BTP)だ。この二つを使い、既に世界中の企業がビジネス変革で大きなメリットを得ているという。SAP自身も、ERPの機能やアプリケーションとしての完成度を高めるためにBTPを活用している。