PFUはAI OCRソフトのDynaEye(ダイナアイ)シリーズの次期バージョン「DynaEye 11」の販売を7月8日に始める。4年ぶりのバージョンアップで、自治体向けの販売を重視する。DynaEyeシリーズは、オンプレミス方式を採用しており、データを外部に持ち出すのを避けたいと考える自治体の需要を狙う。近年普及が進むSaaS方式のAI OCRに比べて処理速度で優位であることに加え、PFUの主力商材である業務用スキャナと組み合わせることで、「より高い精度が出せるようになる」(村上忠夫・スキャナー事業部マネージャー)ことなどを前面に押し出す。
村上忠夫 マネージャー
自治体に販売の焦点を当てる背景として「手書きで提出する申込書や届け出の書類が多く、手書き文字認識に長けたAI OCRソフトの需要が大きい」(同)ことを挙げる。現バージョンの販売先を見ても、自治体や官公庁が全体の3割と最多を占め、続いて金融業の2割、その他の業種と続く。民間企業は印字された請求書の読み取りが多くを占めるとともに、SaaS版の利用が進む。
一方で自治体は年度で予算を確保するため読み取り量に応じて料金が変動するSaaS版より、買い取り型のオンプレミス版のほうが馴染みやすい傾向がある。
次期バージョンでは、名前や住所などの属性を定義する操作画面を一新。読み取り対象の記入欄の位置を自動で認識する「自動領域抽出」機能も強化している。「ユーザーは直感的な操作で記入欄の属性や読み取り先の領域を簡単に設定できる」(同)ことから、使いやすさも売りにしていく。
加えて「DynaEye」シリーズは最新の学習結果を定期的にアップデートしており、オンプレミス版でありながら手書き文字認識AIの精度が見劣りしない仕組みも構築。SaaS版を主力とする他社AI OCRソフトとの競争優位性を保つことで、向こう3年間累計で30億円の売り上げを目指す。
(安藤章司)