米オープンレガシーは、全世界でのユーザー社数が向こう3年で500~1000社に増える見通しを示した。現在の100社余りから大幅に増える見込みだ。
ロミ・シュテイン CEO&共同創業者
同社はメインフレームなどのレガシーシステムとのAPI接続によってデータの出し入れを可能にするとともに、最新のクラウド関連技術を駆使したアプリケーション開発を支援するツール群を開発。ロミ・シュテインCEO&共同創業者は、「クラウドによって生み出された新しい技術や開発手法を導入したアプリ開発の需要が拡大している」と話す。
基幹系システムのレガシー化は、最新の技術が活用しにくくなったり、特定ベンダーに主導権を握られるベンダーロックインされやすいといった問題を引き起こす。とりわけ近年は、コンテナ型仮想化やマイクロサービス、DevOps、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)といったクラウド環境で発展したクラウドネイティブ技術の進化が目覚ましい。 例えば、最新のインターネットサービスやスマホ向けアプリの開発を効率よく行おうと考えた場合、「クラウドネイティブ技術を使えるか、使えないかで開発効率に大きな差が出る」(シュテインCEO)と指摘している。オープンなクラウド技術を多用することで、新規に開発した部分のベンダーロックインの緩和も期待できる。
同社ではIBMや富士通、ユニシスなどの主要な基幹系システムとAPI接続するツールを開発するとともに、クラウドネイティブの技術導入を容易にする抽象化レイヤーを作成。従来に比べておよそ10分の1の期間でレガシーシステムとクラウドネイティブ環境の接続を実現している。
同社は2013年にイスラエルで創業(本社オフィスは米国に設置)して以来、レガシーシステムを多く抱える大手企業を中心に100社余りのユーザーを獲得してきた。ここ数年で需要が急増していることから、向こう3年で今の5倍から10倍にユーザー社数が増えると予想している。
また、アマゾン・ウェブ・サービスやマイクロソフト、グーグルといったメガクラウドベンダーが、企業ユーザーの基幹系システム領域の取り込みに力を入れていることもユーザー増の追い風になっている。例えば、IBMは基幹系システムがメガクラウドへ本格的に移行することを見越し、ITインフラ領域を担う事業部門を昨年9月にキンドリルとして分社化した。メガクラウドベンダーの動きと呼応するかたちで販売力のあるITベンダーやSIerが、基幹系システムにクラウドネイティブ技術を応用する取り組みを加速。その際のツールとしてオープンレガシーが活用されている。
内田雅彦 日本代表ゼネラルマネージャー
国内においても「主要なSIerとの協業が進んでいる」(オープンレガシージャパンの内田雅彦・日本代表ゼネラルマネージャー)ことから、ユーザー社数は向こう3年で30社に増える見通しを示す。
(安藤章司)