LINEはチャット、電話、予約や決済と既に生活のインフラの一部となっている。特に、家族間のグループLINEは、個別化が進んだ現代において家族の絆を維持するのに大いに役立っているといえる。ITが苦手な経営者ですら、夜のお付き合いにLINEが必須、にもかかわらず昼間の仕事で電話・FAX中心なのはなぜなのだろうか。
LINEを業務利用していいのか?
「チャットサービスを使っていますか?」と質問すると、少なくない割合で個人LINEを使って業務運用している会社に遭遇する。使ってないよりは生産性が高いが、アルバイトやパートは別として、経営者、指示命令を行う正社員については、法人用のチャットツールを利用するべきである。
個人LINEを業務利用で勧めない理由は三つある。 まず、「本人確認が難しい」からだ。宛先名やプロフィール写真が、キャラクター名やアイコンでは個人の判断が難しく誤爆の原因となる。次に、「セクハラやパワハラの温床になる」ということ。自制心なく送信したメッセージが、全て相手の資産であるスマートフォンに記録として残ってしまう。プライベートなメッセージや恫喝メッセージを送信した結果、SNSに拡散されるリスクも出てくる。
最後に、「退職した社員の管理が難しい」という点だ。退職者のスマートフォンに業務指示や現場写真、動画が残りつづける点で問題が発生するほか、グループ管理責任者が曖昧だと、退職者が社内グループに居残り続けて情報漏えいの可能性も秘めている。
個人LINEは危険がいっぱい
地方中小企業には「LINE WORKS」が超おススメ
「Slack」「Teames」「ChatWork」著名なチャットサービスより、地方中小企業に勧めたいのが、「LINE WORKS」である。「従業員への説明が不要」「無料で始められる」「グループウエアとして活用できる」というのが理由だ。
LINE WORKSはLINEと同じ操作性で使え、誰でもすぐに使い始められる。LINEに似た画面は、警戒感なく使えるだろう。また、無料版の機能制限が緩く、導入にいたる障壁が極めて低い。さらに、スケジュールや掲示板などの機能が豊富で、チャットサービスと連動したグループウエアとして会社全体のデジタル化が進むのだ。
「LINE WORKS」と「LINE」の連携で採用効率アップ!
数あるチャットサービスの中で、LINE WORKSのみに存在する機能がLINEとの連携だ。これによって、例えば人材の採用効率が向上する。企業側のLINEWORKSのIDやQRコードを、応募者が「友だち追加」するだけで利用できるLINE WORKSとLINEの連携は、応募者が普段使っているコミュニケーション手段のLINEを採用の連絡用として使えるほか、レスポンス改善、面接日時の確実な連絡、資料の提供など、採用担当、応募者共ともに多くのメリットがあり、最終的に採用確率を高めることになる。
実際の応募者との連携例
中高年が主力で若い世代が極端に少ない企業が多い地方中小企業において、チャットツールの選択は、機能に優れたチャットツールではなく、最も導入しやすく、使いやすく、安価なチャットツールだ。無料版でもいいので、とにかくチャットツールを導入し、デジタル企業となる体制整備を整えてほしい。
■執筆者プロフィール
樋口雅寿(ヒグチ マサトシ)
コムデック 取締役会長 ITコーディネータ
1972年、三重県伊勢市生まれ。95年、国立鳥羽商船高等専門学校を卒業。地元系IT企業などを経て、97年、コムデックに創業に参画、2011年に代表取締役社長、22年 事業承継で取締役会長に就任。