アイティフォーは、2本の光ケーブルを1本にまとめる「BiDi(バイダイ)QSFPアダプター」の問い合わせが20社余りに達したことを明らかにした。BiDiはイスラエルのRADデータコミュニケーションズが開発した光ケーブル用の変換アダプターで、本来は「上り」と「下り」で2本必要となるところ、同アダプターを使えば通信速度を落とすことなく1本に集約できる。通信キャリアなどから光ケーブルを借りているケースで活用すれば、ケーブル本数と借り賃を半分に削減することができる。
BiDi QSFPアダプターの模型
今年6月に販売を開始してから半年間で10社と実証実験を行っており、2社の受注が決まっている。引き合いが多いことから、「実証実験で技術的な検証や耐久性が確認され次第、受注件数はより増える見通し」(長坂裕昭・通信システム事業部営業二部部長)と手応えを感じている。今は通信キャリアやインターネット接続業者、ケーブルテレビ会社など大口ユーザーの需要が中心だが、今後はデータセンター事業者やSIer、SaaS事業者といった光ケーブルを通信キャリアなどから借りる立場にあるユーザーへと販売対象を順次広げていく。
長坂裕昭 部長
RADデータコミュニケーションズは、スイッチや変換アダプターの開発を強みとする通信機器メーカーで、アイティフォーは1988年から30年余りにわたって国内販売を手がけてきた。今回の上り・下りの2本の光ケーブルを1本に集約する類似製品は、他社でも開発しているが、「電源不要、かつ指先に乗るサイズで製品化したのはBiDiが初めて。特許も取得している」(長坂部長)と、小型軽量、電源レスの変換アダプター型の強みを前面に押し出していくことで販売に弾みをつける考え。
(安藤章司)